特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ(東京都豊島区)は21日、札幌市中央区の札幌証券取引所で「北海道インデペンデンツクラブ」を開催した。基調講演として今年2月に札証アンビシャス上場を果たしたフュージョンの花井秀勝会長が「ダイレクトマーケティングの対策と課題」をーマに話した。以下、花井氏の講演内容を抜粋した。(写真は、講演する花井秀勝氏)
「私は、公務員として3年間つとめた後、デパートの企画室、旧社会党のシンクタンクを経て29歳の時に父が経営する社員6人の下請け専門の印刷会社に入った。しかし『これではだめだ』と思ってマーケティングの手法を使った事業展開をしていくことにした。それがフュージョンの原点」
「企業が商品を直接、生活者に売る方法として通販がここ20年くらいで台頭してきた。通販によって商品の流れ方、売り方がどんどん変わっている。テレビを見ているとサントリーやライオンなどが直接生活者に健康食品などを売っている。そうした商品は殆ど店頭に置いていないものだ」
「なぜ店頭に置かない商品を売るのかというと、きちっと粗利が取れるほか、誰がどのくらいその商品を買っているかが把握しやすく生産管理もやりやすいことが挙げられる。メーカーはこれからできるだけ直販をしていこうという方向だ。だからこそ、生活者へのダイレクトマーケティングは非常に重要になってくる」
「当社では、ID付POSデータを扱っている。ポイントカードなどによって顧客を分析する仕組みだ。年間売り上げ規模で5~6兆円くらいのPOSデータを扱っており、国内2000万人分のデータを分析している。5年間の顧客の購買分析を取っているので、その数は300億データくらいになる。それを分析して、どういうプロモーションを打てばいいかを提案するのが当社の仕事だ」
「クライアントは小売、通販、メーカー、金融、保険、学校など。購買データやWEBデータ、ソーシャルメディアのデータ、行動データなどから販促策を考えていく。現状分析、市場調査、戦略設定、施策をシステムとして提供している。例えば当社のPOS開示システムは、国内食品メーカー約800社に入っているほか、大手GMS(大規模スーパー)では3割弱のシェアを持っている」
「いよいよオープンビッグデータとクライアントのデータをリンクして解析することができるようになる。国が進める消費の喚起には、データをきっちりと読み解き、どういう施策を打つかが非常に重要なポイントになる」
「消費喚起のために法律が変わってきており、マイナンバーとポイントカードの一本化が進むと、ものすごいことが起きてくるだろう。確実に商品の動きが変わってくる。金融機関が持つ個人情報の利活用は、早晩始まる。そうなると給料振込、住宅ローン、カードの利用も分かって可処分所得が出てくる。個人情報とビッグデータをうまくリンクすることによってセールスプロモーションを1対1で打つことがいよいよ起こり始めるだろう」