一般財団法人さっぽろ産業振興財団と札幌商工会議所の主催による「スタートアップ・プロジェクトルーム」及び「創業ビレッヂ」入居者による事業発表会が2日、札幌市中央区の北海道経済センターで開催された。起業したばかりの会社や個人が事業プレゼンテーションを行う合同発表会で支援機関など約60人が参加した。(写真は、講演する堀内明日香さん)
基調講演は、札幌出身で元タカラジェンヌの堀内明日香さん。堀内さんは高校卒業後に宝塚音楽学校第87期生として入学。10年間歌劇団で活躍して2009年に退団。その後、ドラッカーのマネジメントと出合い、宝塚の創始者小林一三との共通点などを紹介しながら企業経営における組織文化や人づくりについて講演活動をしている。
堀内さんは、2014年に100周年を迎えた宝塚歌劇団の組織繁栄の秘訣は『清く正しく美しく』にあると紹介。「ドラッカーは『事業は外向きに、組織は内向きに見るべきだ』と言っている。宝塚は組織内の順番、年功序列を徹底している。そうすることでチームワークや絆の力強さが生まれる。個人の器、人格を磨かなければ組織は繁栄しない」と述べた。
日本人の型を教育しているのは今や宝塚と防衛大学校しかないと言われることについて、「日本人の型とは思いやりの気持ちを相手や周囲に対して自然に形に表すこと。これを精神論だけで伝えるとフワッとしてしまう。身体で覚える型と精神論がセットになって初めて100年続く組織になる」と紹介した。
そのうえで、人が輝き組織が活きるのには、①ゴールが明確②身体から入る③風通しの良さ④お手本の力⑤やり方よりあり方――の5つが大切とした。堀内さんにはダイバーシティ(多様な人材を活用して生産性を高めるマネジメント)の講演依頼が多いそうだが、「宝塚の仕組みは一様性。多様性を成り立たせるためには一様性が必要」と話す。
その後、起業家をバックアップするインキュベーション施設である札幌産業振興センター内の「スタートアップ・プロジェクトルーム」と札商にある「創業ビレッヂ」に入居している起業家のうち、元北電マンで省エネ・節電コンサルティングの「あかりみらい」(2012年4月設立、越智文雄代表取締役)、オーダーメイドで絵画やリースなどを製作販売する「ありがとうの花束」(2009年設立、佐藤明子代表取締役)、食品工場の衛生指導と効率改善コンサルティングの「フーテックサービス」(2013年設立、今直樹代表取締役)、カラーコンサルティングの「北海道カラーデザイン研究室」(2015年設立、外崎由香代表取締役)、マーケティングリサーチの「ムーンショット・マーケティング」(2016年設立、須田美貴代表取締役)の5社が事業プレゼンを行った。
(写真は、上から佐藤明子氏=右、今直樹氏、外崎由香氏、須田美貴氏)