札幌証券取引所と東京証券取引所は18日、札幌市中央区の札証2階大会議室で「IPOフォーラムin札幌」を開催した。新規上場(IPO)を検討、準備している経営者や役員、支援機関など約80人が出席した。IMG_0030(写真は、「成長戦略としての株式場」をテーマにしたパネルディスカッション)

 札証上場推進部の湯浅祐一郎部長が札証アンビシャス市場の解説をしたほか、東証上場推進部の寺中久登調査役が東京プロマーケットについて説明。寺中氏は「プロマーケットには現在16社が上場しているが、そのうち東京以外の地方に本社を置く企業は14社。地元の支援を受けて成長していく、地域に根差した企業にとっては最適な市場」と話した。

 その後、『成長戦略としての株式上場』をテーマにパネルディスカッションが行われ、赤れんが法律事務所の杉山央代表弁護士がモデレーター、札証アンビシャス上場のエコノス・長谷川勝也社長、東京プロマーケット上場イー・カムトゥルーの上田正巳社長、湯浅部長と寺中調査役もパネラーとして参加した。
 IPO後の苦労について、長谷川社長は「上場前の10年間はベンチャーキャピタル5社から1億4000万円の出資を受けていたが、昨年6月の上場まで何度も心が折れそうな苦悩を味わった。上場後はステークホルダーの期待に応えていく責任があるが、悩みの質が全く違う。前向きな悩みが多くなった」と述べた。
 上田社長は「東京プロマーケットに長くいるつもりはなく、次のステップの成長エンジンとして活用したい。株主の大半は顔の見える距離にいるので、『流動性のある市場を目指せ』というプレッシャーの大きさは上場前と桁違いに大きくなった」と話した。
 
 湯浅部長は「アンビシャス市場には延べ15社が上場し、現在は6社が上場している。4年前にコンセプトを変えて売上10億円、利益1億円がざっくりした基準になった。雇用を増やすなど地域に与える影響は大きいので上場企業を増やしたい」と語った。
 
 地方の上場企業を増やすための方策についてテーマが移ると、上田社長は「上場は経営者の意欲の問題。いくら取引所が環境を整備しても、意欲のある経営者が出てこないと上場企業は増えない。上場した経営者が予備軍に語り掛けていくことが大事だ」とした。杉山弁護士は上場予備軍を発掘するにあたって「取引所は地方銀行だけで地方の信用金庫と連携することが効果的。地域の実情を一番知っているのは信金だ」と述べた。


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