東京・築地市場の移転で揺れる豊洲市場。主要な施設で盛り土がされていなかったことが発覚、安全性が揺らいでいる。豊洲市場は東京ガスの工場跡地に建てられたため土壌や地下水に含まれるベンゼンなど揮発性ガスを遮断する意味で盛り土が必要だった。札幌でも北海道ガスの工場跡地で再開発が進む。果たして安全性は大丈夫なのか。(写真は、再開発の準備が進む北ガス札幌工場跡地)
札幌中央区北4東6の約4・1haは、都心まちづくりの重点地区である創成川以東地区として居住を中心にスポーツ、集客交流など利便性の高い複合型市街地形成を図る地区とされている。既に周辺地権者による再開発準備組合が基本構想を策定、2015年3月には市の市街地再開発事業に認定され補助金の支出も予定されている。
北4東6再開発敷地のうち、約3haを占めるのが北ガス札幌工場跡地。北ガスの資料によると、札幌工場でガス生産を開始したのは1961年。2005年に操業停止して工場が廃止されるまで40年以上、石油からガスを生産していた生産拠点だ。JRで東方面から札幌に入る時、球形のタンクが見えたことを覚えている市民も多いことだろう。
現在、工場跡地は整地され、残る事務所棟などの移転撤去を待つばかりの段階。13日に開催された市の都市計画審議会では、再開発組合が予定していた駐車場と地域冷暖房施設の合築から分棟化することや医療福祉施設と商業業務施設の駐車場を集約すること、さらには商業施設の一部建設を取りやめることについての事前説明が行われた。
こうした施設計画の変更とは別に、都市計画審議会委員から投げかけられたのが土壌汚染問題。「しっかり調査したのか」と言う委員の質問に、市の担当者は、「予定敷地の北側には自然由来のヒ素が検出されたが、現地の土で処理する方向。また、(ガス生産による)人為的な化合物が検出されたことは聞いているが、北ガス側で処理済みと聞いている」と答えた。
北4東6再開発では、市場のような食品を扱う建物が建つ予定はないが、医療福祉施設や市の中央体育館移転が予定されている。東京・豊洲市場で俄かに注目を集めているガス工場跡地の再利用。北ガス札幌工場跡は大丈夫なのか。