東日本大震災は、東北・北関東に進出している道内企業にも大きな爪あとを残している。調剤薬局とドラッグストアのアインファーマシーズは、現在も4店舗の調剤薬局で営業再開のメドが立っていない。同社は、日々情報収集に努めているが、被災地従業員やその家族の今後の生活を見据えた支援体制を早急に整える考え。(写真は山田店内部=アインファーマシーズ提供)
地震発生当時、同社の役員はほぼ全員が首都圏でそれぞれの業務をこなしていた。
当日は航空チケットの手配ができず札幌本社に戻ることはできなかったが、翌日には役員が札幌の本社に揃い、大谷喜一社長を本部長に災害対策本部を設置。現地からの情報収集を急いだ。
13日の日曜日には、名古屋や新潟から薬や水、レトルト食品などの救援物資を積んだ災害緊急車両を手配し現地に派遣、その後第4陣まで現地従業員向けに食料や水を搬送した。
3月22日現在で調剤薬局9店舗が営業を休止していたが、4月1日までに5店舗が営業を再開している。
宮古市や大船渡市にある調剤薬局は、幸いにも高台にあったために津波被害を免れている。いずれの地区の県立病院も過去の津波被害を考慮して安全な高台に建設されていたため、同社の調剤薬局も難を逃れた。
一方で、岩手県山田町の調剤薬局は県立病院移転に伴って4年前に新設した店舗だが、津波によって建物は損壊してしまった。この店舗の従業員には地元出身者がいたため、地震後に津波が来るととっさに判断、従業員全員が車に乗り山の手に避難し全員無事だった。
現在もこの店舗のほか、福島第一原発の避難指示圏内にある南相馬市の2店舗と飯舘村の1店舗は再開できていない。
山田町では避難所で臨時の医療体制を取っており、そこに同社の薬剤師も常駐する体制を敷いた。
調剤薬局は、地域医療を支えており、災害時にはその社会的使命はますます高まってくるだけに、同社は早期再開に向け全国から応援体制を取った。しかし、再開した店舗で働く従業員の多くが自宅を流された。家族の安否が未だに分からない従業員もいる。調剤薬局の店舗で寝泊りしながら営業をしている店舗もあって復旧には相当な時間がかかることを同社は覚悟している。