札幌証券取引所は21日、有限責任監査法人トーマツと共催で「北海道IPOセミナー」を開催した。4回連続セミナーの1回目で、道内の成長企業などを対象に株式公開をサポートするのが目的。(写真は、セミナーで講演するみずほ証券の陣内俊也氏)
当日は、約50人が出席、株式公開に向けた内部体制やIPO市場の動向などが講演された。
「最近の株式上場の動向と資本政策」をテーマに講演した陣内俊也みずほ証券公開引受部副部長は、「IPOは、2006年の188社をピークに減り続け、昨年は22社にとどまった」と述べ、その原因として「リーマン・ショックの発生で事業環境が悪化したことに加えて、新興市場マーケット低迷が続いていること、ライブドア事件による上場会社不祥事による上場審査の厳格化、監査法人による監査の厳格化と監査費用の高額化などが原因」と指摘した。
とりわけ08年から導入された「J―SOX法」によって、「上場コストよりも上場した後のコストの方が高い」ことが新興企業の上場意欲を減退させていることも原因とした。
10年は、IPO社数は22社だったもののIPO時の市場調達額は1兆3195億円で06年に匹敵しているが、これは第一生命保険が相互会社から株式会社に転換し、1兆89億円を市場調達したことが大きい。
10年には、このほかの大型調達として大塚ホールディングスの1985億円、パルタックの405億円、ポーラ化粧品を傘下に持つ持ち株会社、ポーラ・オルビスホールディングスの360億円などがあり、この4社だけで約1兆3000億円にのぼった。
今年のIPOは3月に7社が予定されている。「3月11日にカルビーが東証1部に新規上場する。現在の時価総額は600億円以上だが、公募価格は2100円くらいになるのでは」と期待感を示した。
IPOの中で、札証アンビシャスは06年以降どうだったか。06年4社、07年5社、08年1社、09年と10年はゼロで推移している。名証セントレックス、福証Q―Boardともに09年、10年はIPOがゼロだ。地方証取のIPOは開店休業状態に陥っている。
IPOの市場環境は良好とは言えないが、大塚ホールディングスやポーラのようにオーナー企業が脱国内市場を目指して株式公開に踏み切る例が目立つようになっている。カルビーもその一環。
石屋製菓や野口観光、鶴雅グループなどオーナー系道内企業で道外、国外市場をマーケットにする成長企業のIPOが期待される。
なお、札証とトーマツの共催による「北海道IPOセミナー」は、今後5月から7月まで毎月1回開催される。