札幌中心部で再開発が想定される空地や老朽化ビルが目白押しだ。ざっと数えただけでも10指に余る。景気低迷下、再開発のきっかけは掴めないでいるが、潜在的な建設ニーズは底堅い。これらの再開発のマグマが噴出するのはいつか。
現在、札幌中心部でタワークレーンが聳えているのは大通西10の「札幌第一ホテル跡地」のみ。タワークレーンの数は景気のバロメーターとも言えるが、1機しか姿が見えないことが、札幌の現在の景気を象徴的に現している。
大京は、ここに最高品質の高層マンションの建設を始めている。地上30階建てで一戸当たりの面積は54~110㎡。2戸は1億円を超えるという。ホテルのように生活をサポートするというのが、この最高級マンションの売りだ。現在は3階部分まで建設工事が進んでおり、完成するのは2012年3月。
札幌駅北口の北7西2ではまもなく「札幌北ビル」の建設が始まる。三菱地所と電気工事・不動産管理のTKテクノサービスが共同で取り組むもので、2800㎡の敷地に地下2階、地上14階、延べ床面積2万7000㎡のオフィスビルが2012年春に姿を現す。
また、北3西2では日本通運が「日通札幌ビル」の建設も始めている。
着工していないものの建設計画が具体化しているのは、大通西4の「秋田銀行―石屋製菓ビル」。まもなく旧ビルの取り壊し作業が始まり、来春から着工、ネオクラシックな佇まいの新ビルが3年後にはお目見えする。
北3西4の「三井札幌ビル」は、帝国ホテルがキーテナントになってオフィスとの複合ビルになる予定で2012年の着工。建設は三井と関係が深い鹿島。
建て替えが検討されている大通西3の「明治安田生命ビル」は、胃腸科病院の1テナントだけが営業しており建て替えのメドはたっていない。
駅前通に面した北4西3「札幌西武」の土地建物はヨドバシカメラがセブン&アイ・ホールディングスと買収交渉をしており、売買成立後は建物を取り壊して新ビルに立て直すことも検討されている。
南2西3の「札幌信金本店ビル」も、隣接するビルと一体化した新ビル計画がある。
では、建設計画が具体化していないものの再開発が想定されるのはどこか。
まず、空地から挙げると、南1西14の「札幌市教育委員会庁舎跡地」、南4西1ススキノの「保全病院跡地」、豊平川に近い南7東1の「札幌ロイヤルホテル跡地」、道庁に隣接した北4西7の「道庁西駐車場」――がある。
老朽化した建物で建て替えが想定されるのは、南2西16の「札幌医大」、北1西6の「斗南病院」、駅前通の北3西3「越山ビルヂィング」、南3西11の「中央区役所」などがある。
そのほかにも、札幌オリンピック当時に建てられた駅前通の大通からススキノにいたるまでの両側のビルも築40年近くが経過しており、建て替えが早晩必要になってくることは間違いない。
札幌中心部をざっと見ただけでも建築物の建て替えや新築着工の潜在ニーズはかなり強いことが分かる。バブルは景気過熱のことを指すが、こうした潜在ニーズが貯まっていることをもじって言えば、“逆バブル”が膨れ上がっているということになる。
(写真は、大通西10の大京の高層マンション建設現場にお目見えしたタワークレーン)