道内の山林や原野が海外資本に買収されていることが、次々に明らかになっている。道の調べによると2009年に中国と英国の企業が蘭越、倶知安、ニセコの各町と砂川市で私有林を取得。それぞれの面積は、蘭越が58㌶、倶知安が2㌶、ニセコ1㌶、砂川は292㌶にも及んでいる。
また、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポールに住む個人が倶知安とニセコ、日高の各町の森林等を買収していることもわかった。面積は倶知安が36㌶、ニセコ6㌶、日高11㌶。
海外資本に私有林の売買を仲介したという不動産業者は、「彼らは森林に対して興味を持っているようだが、農業に対して魅力を感じていることは間違いない」と言う。世界的な食糧不足は確実にやってくるとして、道内で農業ができる土地を確保しておこうという考えのようだ。
中国に独自のルートを持っているファンドは、「中国が道内の森林を買っているのは水資源が目的だが、勝手に川や沢から水を採取することはできない。それに気づいた彼らは今、牧場やゴルフ場を取得しようとしている」。牧場やゴルフ場を取得して地下水をくみ上げようという狙いのようだ。実際、地下水のくみ上げに関しては規制がなく水脈を探し当てれば自由に水を確保することができるからだ。
また、ゴルフ場売買を仲介する業者は、「最近は中国資本が道内のゴルフ場を取得したいというオファーが多いですね。彼らはもちろん中国人富裕層の入り込みを期待して商売につなげたいという考えですが、中にはプライベートなゴルフ場として所有したいという中国人もいます」
ゴルフ場を農業用地に転用する目的で取得を考えている中国資本もあるようで、「実際、あるゴルフ場の土質調査までしたことがあります。我々はゴルフ場といったらゴルフ場の価値しかないと思っていましたが、彼らは別の価値をゴルフ場に見出しているんですね。つまり、木や池があって整地されていて開墾の必要もない、農業用地として適していると見ているんです」(ゴルフ場仲介業者)
ルスツ周辺の広大な土地も中国資本買収の動きがあるという。水と農業は、海外資本が道内の土地を買収する大きな動機になっている。