札幌証券取引所は9月2日、道内企業を対象に「成長戦略的M&A」についてのセミナーを開催した。講師は、東証一部上場企業で中堅・中小企業から大企業まで数百件のM&Aに関与した日本M&Aセンター社長の三宅卓氏。
三宅氏は、「M&Aには、男気が大切で買い手企業の経営者の器が試される。M&Aには事業家としてドキドキ、ワクワクが不可欠。それがないM&Aは最終的に失敗する」などこれまでの経験から成功する条件を述べた。


さらに最近増えている相談として持ち株会社の設立を掲げた。その背景には、各業界の中で勝ち組と負け組がはっきりしてきたことがあるという。三宅氏は、ある地域で建て売り住宅ナンバー2の会社からこんな相談を受けた。
〈地域ナンバー1の建て売り会社は年間7万戸で特色のある住宅を作っている。ナンバー2の会社は年間3万戸、2代目社長で50歳。あまり特徴がなく自己資金も豊富ではない。このままではジリ貧になるので何とか立て直したい〉
三宅氏は、ナンバー3やナンバー4との持ち株会社化を提案。ナンバー2の2代目若社長はかつてのJC仲間であるナンバー3の会社に話を持ちかけるとトントン拍子で決まり、ナンバー4の会社も参加して持ち株会社が設立され、3社合わせた年間建て売り戸数は8万戸となり、その地域で業界トップのシェアを持つことができた。
さらに面白いことに、JC仲間の輪が広がって、その持ち株会社には不動産会社や設備工事会社も参加を求めてきたという。業界ナンバー1を目指した動きが、地域ナンバー1の会社になった。
三宅氏は、「この例が示すように、従来の地域ナンバー1や業界ナンバー1の企業でも安泰ではない。単独では生き残れない可能性がある。同業者や異業種の会社にも声を掛けて、合従連衡をすることが勝ち組にとっては必要な時代になっている」と述べていた。
(写真は、札幌証券取引所で講演する三宅卓社長)

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