全国的に景気回復が急減速しているが、北海道は内発型成長のツールが不足しているだけに他の地域と比べてより厳しい局面を迎えている。
景気回復の牽引役は、設備投資と個人消費。個人消費はデフレや所得の減少で回復しておらず、企業の設備投資という片肺での景気回復というのが、今の日本の姿。
しかし、その設備投資も海外向けが中心で、設備投資が国内の経済成長を牽引するという常識は今や過去のセオリーという見方がもっぱらだ。
景気回復の2本柱が変容している中で、北海道の先行きは深刻な状況に立ち至っている。札幌商工会議所会頭で北洋銀行会長の高向巖氏に、北海道の置かれている経済の立ち位置、出口戦略などを聞いた。
――全国的に景気が急減速しているが、北海道の現状をどうみていますか。
高向 (先行きを)非常に心配している。公共事業はますます悪くなる。どれだけマイナス幅を小さくするかにあくせくしている状況だ。今の日本の経済状況をどう名付けていいのか、私自身整理できていないが、デフレという言葉では括れないことは確かだろうと思っている。
国内全体の経済が、安く小さくなっており人の値段(労働力の対価)もバランスが合わなくなっている。すべてが値下げ方向で均衡に向かっている。デフレ、円高という言葉で今の経済を語れるのかどうか。
北海道で言えば、円高で外国人観光客の入り込みも落ちてきている。北海道の経済は、今の経済状況に抵抗力がないと言わざるを得ない。
――北海道の経済浮揚に結びつける出口戦略はあるのですか。
高向 公共事業、新幹線、開発局の統廃合など政治と密接に結び付く領域で、出口戦略はなかなか見えてこない。デフレ、円高という状況の中では有効な対応策をすぐに打ち出せる出口戦略はないと見ている。
北海道がどう生き残るかということについて、端的に言えば“頭を使う仕事”で生き残るしかないと思う。
ニトリが成長しているように、道内の経営者たちも「自分が海外に行って工場を作るんだ」ということを実行することが必要だと思う。
――閉塞状況の北海道だからこそ、ニトリを見本にという訳ですね。個人にとってもニトリ思想が必要ですね。『1人ニトリ』が増えれば北海道は強くなるということですね。
(明日に続く)