自然素材だけを原料にした固形石鹸や液体石鹸、スキンクリームなど肌に優しい化粧品を製造販売しているサボン・デ・シエスタ(本社・札幌市中央区)が東京に進出する。これまで札幌市の直営店1店のほかオンライン販売や小売店への卸販売を行ってきたが、東京に直営店を出して関東での販売を強化、海外展開にも踏み切る。(写真は自然素材だけで作った固形石鹸を持つ附柴裕之会長=2015年7月21日に開催された札幌商工会議所の新製品・新サービス合同記者発表会で)
サボン・デ・シエスタは、北大発ベンチャーで高機能ジェル(ゼリー状物質)の開発を行う「ジェルデザイン」(本社・札幌市中央区)の兄弟会社。ジェル社の初代社長で現在は常務を務める開発者の1人、附柴裕之氏(41)がサボン社の会長として事業を推進している。サボン社は附柴氏の夫人彩子氏が2005年8月に創業。彩子さんの起業のきっかけは、市販の石鹸が肌に合わず自然素材だけで自分の肌に合った石鹸を作るため。同じ悩みを持つ人たちのためにその石鹸を商品化、09年には直営店をオープン、11年に附柴氏が会長に就いて資本金500万円で法人化、現在は第三者割当増資で資本金2500万円になっている。
石油化学原料を使わず良質の天然素材で手間暇のかかる製品づくりを実施。固形石鹸は、非加熱製法で1ヵ月以上かけて丁寧に手作りしている。下川町の間伐材や北見のハッカ、上富良野町のラベンダーといった道内各地の素材も活用し、地域に根付いた北海道ブランドの事業展開をしているのも特色だ。
商品は石鹸やバスソルト、スキンクリーム、フレグランスなど多岐に亘り、製造技術の蓄積も深いことから少ロットの個人客のオーダーやOEM供給にも乗り出している。
サボン社は創業10周年を迎えるのを機に事業拡大に積極的に打って出ることにしており、近く東京に直営店を出店するほか8月には中国で開催される展示会に出展、中国での事業展開にも足がかりを掴む考え。事業資金は政策金融公庫の借入やミュージックセキュリティーズの組成したクラウドファンディングで調達している。
現在は年商1億円規模だが、関東圏での販売や海外展開によって5億~10億円規模に拡大していく考え。
ちなみにサボンはフランス語で石鹸、シエスタは昼寝の意味で毎日の暮らしに心がホッとするひと時を提供したいという思いが込められている。