「資金調達」いろいろ 多様化するベンチャーファイナンス

経済総合

 全国の個性ある起業家を発掘するインディペンデンツ(本社・東京都豊島区)は12日、パネルディスカッションと企業の事業計画発表会など「北海道インディペンデンツクラブ」を札幌証券取引所2階大会議室で開催した。同社は北海道では年に2回開催しているが、今回は1回目。道内の起業家やベンチャー投資家など約40人が参加して議論や交流を深めた。IMG_5850(写真は、『これからのベンチャーファイナンス』をテーマに行われたパネルディスカッション)

 最初に行われたパネルディスカッションのテーマは、『これからのベンチャーファイナンス』でパネラーは、杉山央弁護士法人赤れんが法律事務所弁護士、三浦淳一北海道ベンチャーキャピタル社長、脇本源一フィリップ証券コーポレートファイナンス部長。
 
 脇本氏は、プロ向け市場として3年前に開設された東京プロマーケットの上場推進を行っていることを踏まえて、「起業家には上場に多様性があることがあまり認識されていない。だからいきなりハードルの高いマザーズやジャスダックを目指そうとする。これは小学生がいきなり大学受験するようなもの。小学生は中学受験、中学生は高校受験、高校生は大学受験を受けるように上場も一歩ずつ上がっていく意識を持つべき」と語った。
 札幌は東京プロマーケット、アンビシャス市場、本則市場の3市場が選択でき、さらに東証のマザーズ、ジャスダック、2部、1部を目指すことも可能なため「全国の他地域に比べて選択肢は一杯ある。道内の起業家は上場環境という意味ではとても恵まれている」と訴えた。
 
 杉山氏は、企業の成長段階に応じたファイナンスの手法を適切にアドバイスできる人材が札幌には育っていないことについて懸念を示し、こうした分野の人材育成が急務と述べたうえでで、「札幌は証券会社や証取所、監査法人などが狭い範囲で集中しており、こうした上場関係者が面と向かってリアルに接触できる優位性がある。こうした利点を生かして適切なファイナンス提案ができる人材を育成していくべきだ」と述べた。
 続けて、「例えばトヨタが普通の上場株式とは別に長期保有を前提とした種類株式を発行することにしているが、道内企業が東京プロマーケットに上場してから種類株式を発行、アンビシャス市場に昇格する際に普通株式に転換するような仕組みを作っても良いのではないか。そうした成長段階に沿った資金調達の仕組みを柔軟に考えて行くことが大切」とした。
  
 三浦氏は、北海道ベンチャーキャピタルが設立されてからの16年間で100社に投資、そのうち上場企業数は6月24日に札証アンビシャス市場に上場するエコノスを含めて14社になることを紹介、「札証への上場は東証への上場と違ってディスカウント株価になると言われているようだが、北の達人コーポレーションの木下勝寿社長も語っているように、そういうことは一切ない」と強調。道内起業家たちが東証を格上に見ている傾向に水を差した。
 資金調達手段が多様化していることに触れ、「クラウドファンディングやベンチャーキャピタル、東京プロマーケットなど多様な調達手段から、誰が(自分の事業に)投資してくれるのかを見極めたうえで調達手段を選択することが大事だ」と語った。

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