今年6月から東京証券取引所1部、2部に上場している企業約2400社に適用される「コーポレートガバナンス・コード」の解説セミナーが16日、札幌証券取引所で開催された。有限責任監査法人トーマツと札証が共催したもので、道内の上場企業の経営企画、コンプライアンス、IRの担当者など約70人が出席した。
(コーポレートガバナンス・コードについて解説するトーマツの山内達夫マネジャー=上と佐藤玲マネジャー)
札証の本則・アンビシャス上場企業はコーポレートガバナンス・コードの適用対象ではないが、持続的成長や経営意思決定の透明性・公平性の観点から導入される可能性もあり、札証上場企業の関心は高い。
金融庁・東証のコーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方は、昨年12月に有識者会議から公表された。約1ヵ月のパブリックコメントを受け付けた後、再度の議論を経て確定することになっており、適用時期は6月1日。法的な拘束力はないものの東証は上場規則にするため、事実上東証1部、2部上場企業は3ヵ月間で株主の権利・平等性の確保、適切な情報開示と透明性の確保など5つの基本原則、30項目の原則、38項目の補充原則を策定しなければならない。
狙いは、コーポレートガバナンスの強化によって経営者マインドを変革し、利益率などのほかにグローバル水準のROE(株主資本利益率)設定によってグローバル競争に勝つ攻めの経営を強化するのが目的。各企業が社外取締役の積極的な活用によって経営戦略の進化に繋げることも狙い。
セミナーでは、トーマツの山内達夫マネジャーと佐藤玲マネジャーがそれぞれ解説、「政策保有株式についての目的や経済合理性がある理由も明記しなければならない」、「CEO(最高経営責任者)の後継者計画をプランニングして取締役会で適切に監督することが求められる」、「取締役会は執行よりも経営方針の実行に重点が置かれるようになるため、計画未達の場合の説明責任が必要になる」、「経営戦略や経営計画の策定・公表については株主に分かりやすい言葉で明確に説明をしなければならない」などと説明した。
金融庁と東証のコーポレートガバナンス・コード創設の狙いは、外国人株式保有比率の上昇により海外にも理解しやすいガバナンス構造を作るとともにGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株式市場で運用するため投資環境の透明性をより確保する目的もある。なお、東証ジャスダック、マザーズやプロマーケットは適用の対象外になっている。