札幌の開拓当時の原風景が残っている札幌市中央区北5西8の伊藤組土建名誉会長、伊藤義郎邸の一部敷地が昨年末、住友不動産に売却されていたことが分かった。売却されたのは、広さ約1・4haのうち邸宅の建っている周辺0・5haで、住友不動産は邸宅を取り壊して地上30階、高さ100m級の高層賃貸マンションを建設する。IMG_2486(写真は、住友不動産が取得した伊藤義郎邸)

 伊藤義郎氏が、土地の有効活用を図る目的で敷地の高さ制限の緩和を求める都市計画提案を市に申し入れたのは2012年10月だった。伊藤邸の敷地一帯は、第一種住居地域のため建物の高さ制限があり33mまでの建物しか建設できず有効活用ができないという判断があったためだ。

 市はこの提案を受けて検討を重ねたが、敷地内には開拓当時の貴重な自然が残っているため保全方法を巡って伊藤氏側と協議を繰り返した。一時は市が敷地を買い取って自然を保全する案も提示したが、伊藤氏側は土地に愛着があるとして買い取りを固辞、自ら開発を進めつつ自然を守る方法を市と検討してきた経緯がある。

 用途地域の規制緩和などは市の諮問機関である都市計画審議会の了承が必要なため、伊藤邸敷地の高さ制限緩和を巡って同審議会で4回の審議を実施。昨年9月になって、現在邸宅の建っている底地を含めた約4割の土地については高さ制限を緩和する代わりに、残り約6割の自然が残る緑地部分については市と伊藤氏側が維持管理協定を結ぶことで審議会の了承を得ていた。

 これによって、邸宅が建つ敷地の有効活用が可能になったもので、伊藤氏は昨年12月、邸宅を含めた敷地の約4割当たる0・5haをマンションデベロッパーの住友不動産に売却した。1月中旬現在も、邸宅の表札には伊藤義郎氏の名前が掲げられているが、敷地が売却されたことで早晩、表札も外され邸宅の取り壊しが始まることになる。予定では、2年後に地上30階、高さ100m級の高層賃貸マンションが完成、低層階の一部を伊藤氏が区分所有して住み、他の階は住友不動産が区分所有して賃貸する形になる。
IMG_2485(伊藤義郎氏の表札銘板が現在も掲げられている=2015年1月16日撮影)


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