IMG_0508 北海道電力は国から家庭向け電気料金の再値上げが認可されたことから11月から家庭用を平均15・33%、企業向けを20・32%引き上げることにした。15日の北電真弓明彦社長の値上げ会見を聞きながら「ピョウタンの滝」のことを思い出した。昭和20年代、十勝の農民たちが自前の電力を持とうと札内川上流に建設した水力発電所の跡である。(写真は値上げ会見する北電真弓社長=15日午後5時半)
 
 ピョウタンの滝は、中札内村から日高山脈に奥行った札内川上流にある人工の滝。その滝ができたのは昭和20年代のこと。流域の農民たちがランプ生活から脱して自前の電気を作ろうと団結してダムを作り、その貯水を利用した小規模の発電所を建設したのだが、1年経たず集中豪雨が付近を襲って川が氾濫。発電施設もろとも一帯は大量の木々や土砂に覆われ発電施設は壊滅した。
 
 残ったのは貯水用の堰提(せきてい)のみ。半世紀以上経過した今も堰提は当時の趣を残し落差20mほどの人工の滝となって水音を響かせている。
 
 電気を求めて苦労を重ねた末に完成したダムと水力発電所はあっという間に自然の力で破壊されてしまった。農民たちの落胆と苦悩はどれほどのものだっただろう。北電は戦後、北海道配電と日本発送電北海道支店が合併して設立されたが、当時はこうした電気を求めた人々と同様の情熱や使命感に燃えていたのだろう。
 
 15日の会見で真弓社長は昨年9月の値上げから1年足らずで2度の値上げになることに「深くお詫び申し上げます」と頭を下げたが、負担増を強いられる道民や企業に向けて「当社を助けていただきたい」、「支えていただきたい」とも訴えた。
 
 ピョウタンの滝の話は人々の心を揺さぶるのに、今の北電という組織には道民の心を動かすようなものがない。やはり情熱や使命感が足りていないということだろう。北電は原点の精神風土をもう一度取り戻さなければますます道民から孤立する存在になってしまう。ピョウタンの滝は偉大な教材である。(下の写真はピョウタンの滝)
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