IMG_8480 北海道とEU(欧州連合)の経済・文化交流に寄与することを目的にした北海道EU協会の設立総会が8日、札幌市内の北洋大通センターで行われた。初代会長に横内龍三北洋銀行会長を選び副会長には西山隆司西山製麺社長と丸谷智保セイコーマート社長らが就任、事務局は北海道二十一世紀総合研究所に置き事務局長には同研究所の檜森聖一社長が就いた。総会に引き続いて記念セミナーが行われ駐日EU代表部メイヴ・コリンズ公使と国際大学の林秀毅特別招聘教授が講演した。産学官から約120人が参加した。(写真は、設立総会後の記念セミナーで講演するEU駐日代表部のコリンズ公使)
 
 北海道EU協会は、国内14番目の地域協会として設立。発端は駐日EU代表部と関係のある国際大学の林教授が親交のある日銀札幌支店長の曽我野秀彦氏に打診、曽我野氏が日銀出身で北洋銀会長の横内氏や同じく日銀出身で北洋銀常務執行役員の迫田敏高氏、北大の伊藤直哉メディア・コミュニケーション研究院教授らと協議、北洋銀が音頭を取って産官学の法人、個人会員で構成する協会設立に至った。
 
 8日の設立総会では会則や役員のほか14年度事業計画と収支予算が審議され、法人40社、個人60人でスタートした。理事には、アミノアップ化学の小砂憲一社長、伊藤組土建の伊藤義郎名誉会長、デンソー北海道の杉本正和社長らのほか北海道新聞社の村田正敏社長、道内民放5社の社長らが就いた。監事はサッポロビールの高島英也常務執行役員北海道本社代表とジエトロ地域統括センター長の中里浩之氏。
 
 総会後に行われた設立記念セミナーで、コリンズ公使は日本とEUが交渉を進めているFTA(経済連携協定)について、「90年代は日本とEUの輸出入は3番目だったが現在は7番目に落ちている。FTA締結で市場がオープンになればEUから日本への輸出量は30%増え、日本からEUへの輸出量は20%増えて両方の経済に大きな便益が生じる」と述べたほか、「一定の地域で獲れた食材を一定の製法で作った地理的表示(GI)の日本への導入を働きかけている。日本の生産者や消費者、生活様式も守られる日本版GIは産品の付加価値アップに繋がるのではないか」と語った。
 
 続いて講演した林氏は、「生活文化の多様性という点でEUと北海道は類似点が多い。フランスのアクサ生命が札幌に本社機能の一部を移すなど(日本の中での)地理的強みを生かしてEUと北海道の連携強化を図っていくことも期待できる」と訴えた。
 
 会長になった横内氏は、北海道EU協会設立の意義について北海道リアルEconomy記者にこう語っている。「地域が率先してどういう地域づくり目指すのか真剣に考えなければならない。その時に必要になるのは情報。北海道EU協会はそのためにも意義があると思う。将来の北極海航路を睨めば北海道の役割は大きい。個別の国や都市との連携も大事だが今からヨーロッパ全体を意識していくことも地域の将来に役に立つと思う」
 今後、同協会はセミナーや会報の発行で交流を深めいく。なお、年会費は法人2万円、個人3000円。


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