キャリアバンク(本社・札幌市)は、道内中小企業の人手不足を解消するため育児や介護で退職した女性の復職や学卒後も未就職の若者の就職を後押しするインターンシップ(職場実習)プロジェクトを実施する。復職を希望する女性や就職を希望する学卒者に中小企業を紹介、一定期間の実習をしてもらったうえで就職に結びつけるもの。実習期間中は実習生に国から助成金が支給され企業にとっても人柄やスキルを判断できるメリットがある。(写真は、キャリアバンク佐藤良雄社長)
このインターンシップ事業は、経済産業省の「中小企業新戦力発掘プロジェクト」と「新卒者就職応援プロジェクト」の2本。前者は、主として結婚や育児、介護で退職した主婦層を主な対象にしており、会社でパートやアルバイト、正社員として働いた経験が1年以上あれば応募できる。
実習時間は1日4時間以上8時間までで期間は2週間から最大3ヵ月。期間中は4時間なら5000円、8時間なら7000円の助成金が国から支給される。
昨年度も同様のプロジェクトがあったが正社員として2年以上働いた女性のみが対象だった。それでも応募登録者は206人あって実習を受けたのは延べ146人、復職に結びついたのは85人だった。今年度は、要件が緩和されたためさらに応募者が増えると見込まれる。
プロジェクトを担当するキャリアバンクの三上力課長は「一度働いて退職した主婦の方たちは復職することに不安を感じる人が多い。この制度は2週間から3ヵ月の実習があるので勘を取り戻すことができる。『もっと早くのこの制度のことを知りたかった』という声が多いですね」と語っている。
後者のプロジェクトは、2011年3月以降に大学、短大、専門学校、高等学校を卒業した未就職者と15年3月に卒業予定の学生(高校と高等専門学校を除く)。実習時間は4~8時間で実習期間は2週間から3ヵ月。こちらも1日5000円から7000円の助成金が支給される。昨年度は347人が応募登録しそのうち167人が今年3月の卒業予定者だった。実習したのは延べ227人で就職が決まったのは118人だった。
いずれのプロジェクトも損害保険がついており、実習中の通勤事故や受け入れた企業のパソコン類の破損に対して保証される。実習生の交通費は支給されない。
道内の中小企業は、労働需給が引き締まっていることから卸・小売業、サービス業、医療福祉などの分野で人手不足が顕著。中小企業にとっては採用にコストを掛けることに限度があることから、キャリアバンクを通じたこの2つのプロジェクトでコストを削減しながら職場に合った最適な人材を確保することが可能になるメリットもある。2つのプロジェクトには専任のキャリアカウンセラーが付き、状況を確認しながら実習生と受け入れ企業のマッチングをフォローしていく。締め切りは9月30日。
労働市場では「7・5・3」というフレーズが定着している。3年間で中卒者の7割、高卒者の5割、大卒者の3割が最初に就職した会社を退職することを表したものだが、道内では中卒者100%、高卒者40%に跳ね上がる。インターンシップは実際の職場を体験することから早期離職を少なくしていくことにも繋がりそうだ。
「中小企業新戦力発掘プロジェクト」は、shinsenryoku-p.jp
「新卒者就職応援プロジェクト」は、shinsotsu-p.jp