中富良野町に行きたくなる!!町・JAL・日動が「JALオーベルジュ(宿泊機能付きレストラン)富良野」2026年冬開業

観光

 空知郡中富良野町と日本航空(JAL、本社・東京都品川区)北海道支社(札幌市中央区)、日動(本社・同)は、2026年冬に、中富良野町北星山森林公園エリアに「JALオーベルジュ富良野」を開業する。JALが、自社ブランドのオーベルジュ(宿泊機能付きレストラン)事業に初進出するもので、3者連携により、北海道に滞在型観光を根付かせる。JALは、余市郡仁木町とも連携して、第2弾の「JALオーベルジュ」を建設する。(写真は、「JALオーベルジュ富良野」の記者会見。左から、谷章太郎シェフ、石井誠シェフ、小松田清・中富良野町長、林浩一・JAL北海道支社長、前川大輔・日動代表取締役)

 JALのオーベルジュ事業は、JAL北海道支社の地域事業として取り組む。発端は、林浩一執行役員北海道支社長が、約30年前のパリ勤務時代に現地のオーベルジュに魅了されたため。5年半前に北海道支社長に赴任、北海道の景観がフランスと酷似していることや各地域の食材の豊かさから、北海道支社の地域事業としてオーベルジュ事業に乗り出すことにした。林支社長は、かねて北海道観光の課題として①通過型観光からの脱却②道央圏集中の是正③季節の偏りの解消――が必要と認識しており、オーベルジュ事業は、課題解決に繋がる取り組みの一つして事業化を決めた。

 JALでは、各支社の権限で地域振興に繋がる事業を展開できる自由度があり、北海道支社では、以前から進めてきた二地域居住と今回のオーベルジュ事業で地域振興を目指す。林支社長は「北海道でオーベルジュ事業が軌道に乗れば、「(本社事業として)全国展開も視野に入っている」とする。

 オーベルジュ事業進出にあたり、林支社長は、道内オーベルジュ事業の先駆者でレストラン「モリエール」(札幌市中央区)の中道博オーナーシェフに飛び込みで相談、アドバイスを受けた。そのうえで、中道氏と交流のある「ル・ミュゼ」(同)の石井誠オーナーシェフと組んで、既に候補地として連携協定を締結していた中富良野町から北星山森林公園エリアの町有地を賃借、第1号物件を建設することにした。

 施設の建設と完成後の管理運営は日動が行う。JALと日動が組むのは初めて。建物の設計は荒川建築設計事務所(札幌市北区)、施工は笹木産業(本社・滝川市)、デザインはアトリエテンマ(札幌市中央区)。建物は2階建て、全10室(1室50㎡以上、定員5人)、部屋から十勝岳連邦が望めるように配置する。2025年9月に着工しており、冬期間は工事を行わずに春から再開し、2026年10月に竣工予定。総投資額は、現時点でまとまっていないとしている。

(画像は、「JALオーベルジュ富良野」の外観パース)

「JALオーベルジュ富良野」のレストランでは、石井氏が監修し、「ル・ミュゼ」シェフで富良野出身の谷章太郎氏が常駐する。中富良野で摂れる天然のキノコや野草を使った料理、地元木材をまき火にして作る料理などを提供する。2026年4月頃から予約受付を開始、料金設定は、その段階で提示するが、リーズナブルな価格を予定している。

 2025年12月1日にJAL北海道支社で行われた記者会見で、林支社長は「本格的なオーベルジュのスタイルを軸にした新しい観光の形を北海道でつくっていきたい。北海道観光の課題解決を具体的な形にするもので、JALグループの将来の成長にも資する」と話した。小松田清中富良野町長は、「夏はラベンダー観光、冬はパウダースノーを求めて国内外から多くの観光客が訪れ、2024年は117万人の入り込みがあった。課題は通過型からの脱却。もっとゆっくりと町の魅力を味わっていただきたいとずっと思っていた。その願いを叶えるのが、今回のオーベルジュ」と強い期待感を示した。日動の前川大輔代表取締役は、「料理の提供だけでなく、宿泊者が地元食材で料理ができるように各部屋にキッチンを設置する。また、できるだけ内部に道産木材を使って、存在力の高い建物にする」と語った。
 JALは、2025年11月25日に仁木町と連携協定を締結しており、「JALオーベルジュ」の2号物件を同町内に建設する予定で、3号物件は、道東地域を想定している。
※2025年12月2日記事一部修正しました。

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