「白い赤れんが庁舎」、さっぽろ雪まつりの雪像ではありません

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 2025年7月25日にリニューアルオープンする、「赤れんが庁舎」の愛称でおなじみの北海道庁旧本庁舎。道庁では、同年1月30日より、改修工事の様子やリニューアルの内容などを紹介するYouTube動画の公開をスタートさせた。また、同年2月4日から始まる「さっぽろ雪まつり」では、大通公園会場7丁目・HBC広場に「赤れんが庁舎」の大雪像が登場する。このように、今年は「赤れんが庁舎」がクローズアップされそうだが、実は、「白い赤れんが庁舎」とも言える白い建物が、札幌市厚別区の野外博物館「北海道開拓の村」にあるのをご存じだろうか。(写真は、「北海道開拓の村」にある旧開拓使札幌本庁舎。外観は、北海道庁旧赤れんが庁舎によく似ている)

 この「白い赤れんが庁舎」こと旧開拓使札幌本庁舎は、明治6年に建てられたもので、国策だった北海道開拓の前線基地の役割を担っていた。建っていたのは、今の「赤れんが庁舎」の北隣、現道庁本庁舎の東側に当たるところで、3本の国旗・道旗などの掲揚ポールが建っている芝生広場。建物跡は、白い線で囲まれている。

 この建物は、明治12年に火事で焼失してしまう。その3年後には、開拓使自体が廃止され、明治19年に北海道庁が設けられて、明治21年に「赤れんが庁舎」が完成する流れをたどる。旧開拓使札幌本庁舎と「赤れんが庁舎」が並んで建っていた時代はなかったが、もし消失することなく、「白い赤れんが庁舎」こと開拓使札幌本庁舎と「赤れんが庁舎」が並んで建っていたら、さぞ壮観だったに違いない。

 復元された旧開拓使札幌本庁舎は、「北海道開拓の村」の入口広場からすぐの場所にある。「北海道開拓の村」は、およそ54haの敷地の中に、著名な鰊番屋やかつての札幌農学校寄宿舎、新聞社社屋、派出所、商店や農家の住宅など、明治から昭和初期にかけての建物を数多く復元展示している。旧開拓使札幌本庁舎が、来場者の目に最初に飛び込んでくる場所に設置されているのは、北海道に果たした役割の大きさからだろう。

 前述したように、今年は、6年間の改修工事を経て、「赤れんが庁舎」の内部が一般開放され、大きな注目を集めそう。そのリニューアルオープンに先立って、雪まつり会場に登場する「赤れんが庁舎」の八角塔。本物と雪像の「赤れんが庁舎」を堪能したら、その足で「白い赤れんが庁舎」こと旧開拓使札幌本庁舎を訪ねてみるのも一興。「赤」と「白」のコントラストは、場所が離れていても鮮やかさを競っている。

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