胆振東部地震で大きな被害を受け、復興・復旧が続く勇払真郡安平町。奇しくもその動きを後押しするような役割を担うことになったのが、「道の駅あびらD51(デゴイチ)ステーション」。建物の工事はほぼ終わり、現在は外構工事の段階。2019年4月19日、木々の芽吹きと共に安平町に春を運んでくる。(写真は、来春オープンに向け工事が進む「道の駅D51ステーション」)
小春日和の11月下旬、早来国道(234号線)沿いにある建設途上の「道の駅」は、しばしの陽光に照らされていた。この時期特有の高い青ぞらの下、かつて鉄道の要衝として栄えた追分にちなみ、駅舎を模したような外観が開業前でも旅情を誘う。建物の左端にある「追分機関区」と掲げられたSL倉庫には、実物のD51が展示される。
安平町を南北に走る室蘭本線は、D51が最後まで雄姿を見せた街。最高の状態で、同町の鉄道資料館に保存されていた「D51 320」がここに展示される。公募で決めた道の駅の名称には、安平の人たちの誇りが凝縮されている。
道の駅の人気は衰えを見せない。地場産品やそれらを生かしたメニューの数々は、遠くからでも多くの人を引き寄せる。地域とそこに住む人々の暮らしぶりを再発見することができる道の駅は、訪れる人の感性を揺らす。「あびらD51ステーション」にも特産品や農産物、加工品などが揃えられ、鉄路の追憶と未来に繋がるレールが結節する文字通りのステーションになりそう。
震災によって安平の人たちが受けた衝撃は大きい。道の駅が癒しの場となり元気を醸す受け皿になってほしい。いつもと違う道の駅オープンを前に、そう思う道民は多いだろう。春が待ち遠しい。