定山渓の奥座敷、薄別温泉「佳松御苑」が1日に開業した。老朽化した以前の建物を取り壊して支笏洞爺国立公園の自然に溶け込むように建てられたシンプルで重厚感のある宿泊施設。多くの宿泊施設が集まっている定山渓温泉の喧騒を離れ、自然を堪能しながらゆったりと過ごすには最適な宿と言えそう。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。

IMG_3797(写真は、オープンした佳松御苑の外観)
IMG_3790(写真は、池泉から望む佳松御苑)

 国立公園内の宿泊施設のため色合いや建物の高さなど、建て替えであっても厳しいルールが適用された。庭園や池泉の造成、敷地の形状変更を伴う開発行為の申請では何度もやり取りしたうえで落としどころを見つけたという。

 もともとは国立公園の指定を受ける前から営まれていた薄別温泉の一軒宿がルーツ。ハマノホテルズの濱野浩二社長の叔父、故濱野邦喜氏がその宿を買い取り、1989年にリニューアルしてオープンさせたのが「佳松御苑」だった。叔父、叔母、その娘と引き継がれだがその若女将も早くに亡くなり、浩二氏が叔父の思いがこもったブランドを引き継ぐ。しかし老朽化による雪害が激しくやむなく休館。

 それから4年、叔父が築き上げたブランドの再興を目指すべく浩二社長の肝煎りで誕生したのが新生「佳松御苑」。全23室の3階建て客室棟は、森に向かって翼を広げたような形。中央から右が「藍」、左が「紅」(くれない)と名付けられたブロックになっている。各部屋には薄別温泉の源泉を利用した展望風呂を備え、広く取った窓からは森がすぐ近くに見える。いずれも旭川家具のソファやテーブル、畳を配した和のスイートルームでテラスのある部屋も4室用意されている。廊下の照明は毎月色合いがかわり、出窓に飾られている工芸作品も毎月趣を変える。

IMG_3830(ゆったりした客室の広い窓からは国立公園の森が広がる=写真)

 1階レストランでは、地元食材に精通したイタリアンシェフが道内の旬の食材を使って和と洋が融合した料理を用意、豊富なワインメニューも揃えている。個室も利用できる。ロビーには札幌軟石で作った囲炉裏があり、冬場には実際に薪を燃やして暖を提供する。3階には佐伯チズ氏の美容理論をベースにしたスパ&トリートメント「美湯手」もある。
 1泊2食付きで4名1室、1人2万5000円から(諸税別)。チェックインは午後2時、チェックアウトは午前11時。


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