流氷が覆い尽くすオホーツク海を、風まかせで自由に飛行するフリーフライトの熱気球から堪能する。これは北海道の体験プログラムの1つ。数年前からはこうした体験型観光がトレンドになり始めた。非日常で感動を共有できるコト消費は観光分野でも活発化している。さらに江別市での雪道ドリフト体験など外国人に人気を集める体験プログラムも出てきて、この分野でのインバウンド需要も増加している。そんな観光分野でのコト消費の魅力を凝縮させた一冊が5月20日に北海道新聞社から刊行された『アウトドア&感動体験ガイド北海道』だ。(写真は、北海道新聞社から刊行された『アウトドア&感動体験ガイド北海道』)
(↑これからのおすすめは支笏湖のエメラルドグリーンの湖面をカナディアンカヌーに乗り、カヌーでしか行けない岸辺でカフェタイムを過ごすプログラム。面白そうと思う方は本書でチェックしてみては)
北海道新聞夕刊道央圏版の「情報ランド」で連載中の「わくわくアウトドア」で紹介した内容をベースに、春夏秋冬楽しめる北海道内各地の119の体験プログラムを紹介。ラフティングやカヌー、乗馬体験といった定番アクティビティを掲載しているだけでなく、美唄市の「空知神社」でオリジナルの腕輪お守りをつくる体験や、石狩市の「サケのちゃんちゃん焼き」を地元の飲食店オーナーに習うなど、インドアの体験プログラムも掲載している。
著者の花岡俊吾さんは恵庭市出身で現在、北海道宝島旅行社のクリエイティブ・ディレクターとして北海道の魅力を国内外に発信している。幼いころから自然が好きで、年間100日以上、道内各地のアウトドアガイドを訪ね歩き、現場のプログラムを体験。本書ではプログラムの魅力や必需品などについて、実際に体感したからこその臨場感を織り交ぜて書かれている。四季折々の美しい風景を切り取った迫力ある写真も満載だ。
またツアーガイドにスポットをあて、ガイドがどのような想いでプログラムを提供しているのか、どのような経緯で今の仕事をしているのかについて紹介しているのも本書の特徴。「取材したガイドの8割が道外出身者で、みんな北海道が大好き。道外出身者だからこそ見える北海道の魅力を語ってくれています。体験プログラムには、自然や歴史について解説してくれるガイドの存在が欠かせません。その人となりを少しでも知ってもらえれば」と花岡さん。
鹿部漁協組合の女性部のメンバーと一緒に行う地元の魚料理体験を例にあげ、「有名な観光名所がない町でも、体験プログラムによって地元にお金が落ち、市場が生まれる。地元の人と観光客のふれあいも生まれ、双方にプラスに働いている。名所や風景を見て回るような物見遊山型の観光から新たな市場である体験型観光に誘(いざな)うガイド本。若い世代からファミリー層、年配の方など幅広い世代に手に取ってもらい、地域にお金を落としていただきたいですね」と花岡さんはアピールしている。A5判224ページ、定価1574円(税別)。