御前水ゴルフ倶楽部運営の美々リゾート開発に札幌地裁が会社更正手続きの開始決定、スポンサー候補に「アイランドゴルフ」

ゴルフ業界

 御前水ゴルフ倶楽部(苫小牧市美沢)を運営する美々リゾート開発の債権者である会員有志が申し立てていた会社更生法について札幌地裁は29日、更生手続きの開始決定をした。スポンサーとしてOGIホールディングス(東京都港区)の子会社、アイランドゴルフ(同)が付くことが確実。昨年3月の民事再生法申請以来、再建手法を巡る旧経営陣と会員の衝突で再建が宙に浮いていたが、会員らが申請した会社更生法の開始決定が出たことで早ければ7月半ばから御前水ゴルフ倶楽部は再開される見通しだ。(写真は、御前水ゴルフ倶楽部のコース)
 
 御前水ゴルフ倶楽部を運営する美々リゾートは、昨年3月に負債22億8000万円を抱えて札幌地裁苫小牧支部に民事再生法を申請していた。しかし、蔦森清克代表取締役など旧経営陣がそのまま経営を続けることに、会員らは反発。有志が集まって「会員の権利を守る会」が結成され会員の過半数、債権額の過半数を占める勢力になり、今年3月の債権者集会で民事再生計画案が否決された。
 
「守る会」有志らは、旧経営陣を排除できる再建を目指し、3月中旬に札幌地裁に会社更生法を申し立てたが、その時点ではスポンサー候補が見つかってなかったため、札幌地裁は資金不足で更生計画を作成する見込みがないとして4月下旬に申し立てを棄却する決定を出していた。
 
「守る会」は札幌高裁に即時抗告、時間を稼いでいる間にスポンサー候補としてアイランドゴルフを選定、上申書を提出し6月22日に高裁は地裁の棄却決定を差し戻す判断を示し、その後1週間で地裁は再建見込みがあるとして更正手続きの開始決定をスピーディーに出した。
 
 更正管財人は、橋本・大川法律事務所の大川哲也弁護士。大川弁護士は、企業再生やゴルフ場再生に多くの実績がある。更正計画案の提出期限は11月2日。
 
 スポンサー候補のアイランドゴルフは、OGIホールディングスの子会社。OGIホールディングスは、人材派遣のスタッフサービスが2008年に人材派遣をリクルートに売却、M&Aや不動産などの事業部門が独立する形で設立された持ち株会社。
 
 アイランドゴルフは、資本金1億円でゴルフ場やレジャー施設などの運営やコンサルタント事業を行っている。グループ会社が運営するゴルフ場には、「アイランドゴルフリゾート那須」(栃木県那須郡那須町)や「アイランドゴルフパーク東那須」(同大田原市)がある。
 
 御前水ゴルフ倶楽部は、再建の見通しが立たなかったため今シーズンの運営は不可能と見られていたが、更正手続き開始決定を受けて、早ければ7月半ばからセルフ方式による再開が見込めるという。
 
 ゴルフ場の再建は民事再生が主流だが、経営側に都合よく債権カットでき旧経営陣が居残って采配を振るケースが多いため民事再生への批判が高まっている。旧経営陣を排除するために会社更生法で再建を目指すゴルフ場も増えており、これまでに南総カントリークラブ(千葉県市原市)や屋島カントリークラブ(香川県高松市)、小田原城カントリー倶楽部(神奈川県小田原市)が会社更生法の適用になった。御前水ゴルフ倶楽部を運営する美々リゾートに会社更生法が適用されれば、道内で初となる。

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