民事再生法による再建を申し立てている御前水ゴルフ倶楽部を運営する美々リゾートは、明日14日に3回目となる債権者説明会を開催する。この債権者説明会では、3月12日を最終期限とする再生計画案への可否について会社側から説明を行い、賛成票への理解を求める。同倶楽部では、会員有志が組織する「御前水ゴルフ倶楽部会員の権利を守る会」が、民事再生計画案に反対を呼びかけており会社更生法による再建を目指している。会社側が示す計画案を巡り土壇場の攻防が繰り広げられることになりそうだ。(写真は、御前水ゴルフ倶楽部のコース)
会社側は11月末に札幌地裁苫小牧支部に民事再生計画案を提出。この計画案では会員のプレー権を保護し弁済率は退会会員6%、存続会員8%としていた。
しかし、「守る会」が会員に会社更生法による再建を呼びかけた文書では、弁済率を16%まで高められると主張しており、弁済率を巡る再建手法の違いが明らかになっていた。
最大の争点になっているのは、弁済率と現経営陣が引き続き経営をするかどうかという点に収斂されている。会社側は、現経営陣の蔦森清克代表取締役以下が引き続き経営を担って再建する民事再生を主張し、「守る会」は蔦森一族の完全排除によって透明性の高い再建ができる会社更生法の選択を呼びかけている。
会社側では、「守る会」の文書が会員に送付されて以降、計画案を修正。弁済率を退会会員10%、存続会員12%に引き上げるとともに、蔦森代表取締役の役員報酬全額カット、そのほかにもゴルフ場用地の地代減額、コースにかかるノーザンファーム所有地を買い受けて将来に亘って支払う賃借料を低減するなど経費削減策を徹底する案を示している。
「守る会」では、現経営陣が値下がりした同倶楽部会員権を市中から買い入れするために12億円を使い財政状況を悪化させたことも問題視しているが、会社側は会員権買い入れは会社の財務状況を改善させるための経営判断で、このために用いた資金は7億円だと主張している。
この件について、民事再生申し立て後に経営状況を調べた調査委員の公認会計士小川裕也氏は「調査報告書」の中で、《再生債務者(美々リゾート)は、会員権を償却するために市場より会員権を買い入れし、6億9511万6000円の資金を流失させていた。この資金流出がなければ今回の弁済率は20%程度になり、これは経営判断ミス》と結論付けている。
民事再生計画案が成立するには債権者の過半数、債権額の2分の1以上の賛成がなければならない。「守る会」が民事再生計画案への否決と会社更生法の賛意を会員に葉書によるアンケートで問うたところ、いずれも過半数の賛意を得ている。
明日、会社側が開く債権者説明会は、文字通り民事再生が通るか通らないかの最終局面になりそうで、双方の緊張感が高まっている。
会員の1人は、「なぜ弁済率を徐々に高めたり現経営陣の報酬ゼロを最初から提案してこなかったのか。最終場面になってこうした計画案を修正して出してくるのでは不信感が強まるだけ。しかし、修正計画案そのものは評価できる」と語る。
札幌地裁苫小牧支部では書面による投票(3月9日まで)か、債権者集会当日(3月12日)による投票を会員各位に郵送しており、残された1ヵ月弱の攻防が激しくなりそう。
なお、2月14日の債権者説明会は午後1時30分から札幌市中央区北1西12のさっぽろ芸文館で開かれる。