御前水ゴルフ倶楽部の会員で構成される「会員の権利を守る会」は、同倶楽部を運営する美々リゾート開発に会社更生法の適用を申請する方向で会員の賛同を募ることになった。美々リゾートは今年3月、民事再生法の適用を申請。11月30日には再生計画案が提出されているが、債権者の過半を占める「守る会」はこれを否決する考えで、現経営陣を刷新して「守る会」が中心になって再建を図ることができる会社更生法を申請する方向。(写真は御前水ゴルフ倶楽部のコース。ハードは一流とされる。)
美々リゾートの民事再生申し立て代理人と現経営陣は、これまで3月と8月に預託金債権者を集めた説明会を開催してきた。財務内容と会員のプレー権を守るには、民事再生に踏み切らざるを得なかったことを説明し、再生計画案への賛同を求めてきた。
しかし、過去の経営内容が不透明であることや現経営陣が引き続き残留することに会員らの不満が噴出。このため一部会員有志らで「会員の権利を守る会」(大表・松岡修也氏)が結成され、会員に加入を呼びかけてきた。この結果、守る会の加入者は全会員740人中、421人に達したほか、債権総額も22億8275万円のうち13億1175万円となり、債権者数と債権総額のいずれも過半数を超えるまでになった。
美々リゾートの民事再生申し立て代理人は、11月30日に札幌地裁苫小牧支部に再生計画案を提出、同支部では来年2月ころに預託金債権者である会員に賛否を問う書面を送付する予定。
守る会は、現経営陣が責任を取らず債権者である会員の意向を無視する再生計画案に反対する考えで、新たに会員らによって会社更生法適用を申し立てる方向で動き始めた。
守る会では、20日付けで全会員に『会社更生法で現経営陣を排除し再建しましょう』と題した文書を送付、これまでの経緯や預託金返済率がアップする理由などを提示、合わせて会社更生法申し立ての支持・不支持を問う葉書も同封した。
ゴルフ場の再生はこれまで民事再生が中心だったが、現経営陣に都合よく利用されることなどから債権者である会員らの賛成が得られず、会員らが自主再建手段として会社更生法の適用を申請するケースが増えている。昨年、破綻したゴルフ場の中でも、南総カントリークラブ(千葉県市原市)や屋島カントリークラブ(香川県高松市)、小田原城カントリークラブ(神奈川県小田原市)が会社更生法の適用を申請している。
守る会では、裁判所に収める予納金3000万円を既に準備しており、民事再生の計画案を否決した上で、会社更生法の申請手続きに入る意向。
なお、今シーズンの御前水ゴルフ倶楽部の入場者は、1万9443人で前のシーズンと比べて4078人減、率にして17・3%減った。法的手続きに入ったことによるイメージダウンと東日本大震災によるゴルフツアー客の減少が響いた。