御前水ゴルフ倶楽部を運営する美々リゾート開発の民事再生申し立て代理人である高﨑良一・濱﨑亮弁護士は11月30日までに同リゾートの民事再生計画案を札幌地裁苫小牧支部に提出した。当初は8月24日が提出期限だったが、会員らの自主的組織である「御前水ゴルフ倶楽部会員の権利を守る会」が提出期限の延長を求め、代理人らがこれを受け入れていた。再生計画案によると会員らの弁済率は6~8%で当初の計画よりも1%上積みされているという。(写真は、御前水ゴルフ倶楽部の入り口に設置されている表示板)
美々リゾート開発は3月17日に民事再生手続きの申し立てを行い、30日に開始決定を受けた。負債総額は22億8300万円で金融債務はなく全額が会員の預託金債務。同社と申請代理人はこれまでに2回債権者である会員に説明会を開催してきた。
「守る会」は、7月に会員有志41人が呼びかけ人になって結成されたもので、現在の会員数は約390人、会員らの債権総額は12億3165万円。確定している総債権者数は740人、債権総額22億8275万円のためいずれも過半数を超え、民事再生計画案の成否を握る勢力になっている。
美々リゾート開発の申請代理人は、蔦森清克代表取締役など現経営陣の続投を前提に会員の預託金債権カット率などを決め、当初は8月24日に再生計画案を提出する予定だった。
しかし、「守る会」は総意として現経営陣の撤退と過去の経営内容についての説明責任を求め、再生計画案提出を先延ばしすることを求め、代理人側も了承、11月30日に提出期限が延ばされていた。
「守る会」は、申請代理人との接触を続けたものの、両者が正式に話し合う場は設けられず、結局代理人側は期限までに再生計画案を提出した。
計画案によると、現経営陣を続投させた上で、弁済率を当初の5~7%から6~8%に1%上積みしている。債権カット率は92~94%になる。
申請代理人側はこの再生計画案について、来年2月ころまでに書面で債権者である会員の賛否を問うことになるが、計画案が通過するには総債権者数、総債権額のいずれも過半数の賛成が必要。
前述したように「守る会」の債権者、債権額のいずれも過半数以上を制しており、計画案が了承されるかどうか不透明。「守る会」が新たな対抗手段を講じる可能性もある。
ただ、再建の道筋が見えないまま時が経過すれば、来シーズンの営業が懸念されることになるため、代理人、「守る会」の双方にとって時間との戦いになりそうだ。
また、御前水ゴルフ倶楽部のコースのうち3分の2近くの敷地が現代表取締役である蔦森氏の親族名義のため、賃借契約の行方も焦点になりそうだ。