民事再生法の申し立てをしていた御前水ゴルフ倶楽部を運営している美々リゾート開発は、24日になっていた札幌地裁苫小牧支部への再生計画案提出期限を延長した。会員で作る『御前水ゴルフ倶楽部会員の権利を守る会』の加入会員が過半数を超え、同会が美々リゾートに対して提出期限の延長を求めていたため。美々リゾートは、民事再生後も現経営陣が引き続き経営を行う計画だったが、守る会は現経営陣の退陣や過去の経営状況の開示を請求しており、再生計画案は抜本的な変更を余儀なくされそうだ。(写真は、御前水ゴルフ倶楽部。コースの評価は高い)
 
 美々リゾートは3月17日に札幌地裁苫小牧支部に民事再生手続きの申し立てを行い、30日に再生手続きの開始決定が同支部より通知された。負債総額22億8300万円は、金融機関借り入れではなく全額会員から集めた預託金。
 
 民事再生の申し立てに至るまでの経過は不透明で、直前に人件費が急増していたり代表取締役が1人に変更されたり、コースの所有者である美々リゾート代表取締役の親族企業の役員が不自然に入れ替わっているなど、会員からは「資産を隠匿した上での計画的な民事再生の疑いがある」と徹底追及を求める声が高まっていた。
 
 7月に入って、会員有志41人が呼びかけ人になって『御前水ゴルフ倶楽部会員の権利を守る会』(松岡修也代表)が結成され、葉書で会員に入会を呼びかけ、8月23日現在で守る会の会員数は390人、会員の有する債権額は12億3165万円になった。確定している総債権者数740人、総債権総額22億8275万円のいずれも過半数を大きく上回っている。
 
 民事再生計画が認められるのは、債権者集会出席者の過半数と債権総額の過半数の同意が必要で、守る会は再生計画案の可否を制する勢力になった。
 
 美々リゾートは当初、札幌地裁苫小牧支部への民事再生計画案提出期限である24日を強硬突破する予定だった。計画案が提出されると債権者である会員は基本的に「イエス」か「ノー」かの選択しかできず、仮に「ノー」となれば、経営者側は民事再生から自己破産に切り換え、会員のプレー権を消滅させてしまうこともできる。
 
 つまり、計画案を提出したうえで、債権者集会を開けば経営者側は会員のプレー権を担保にして同意を強要できる環境が整う。
 
 このため、守る会は計画案提出の前に、現経営陣である蔦森清克代表取締役ら一族経営からの脱皮と過去10年間の資産移動について徹底検証した上で、会員の意向を踏まえた再生計画案を作ることを要求。その前提として計画案提出期限を延長することを経営者側代理人に求めていた。
 
 再生計画案提出は、年末か年明けに延期されることになったが、守る会には今後美々リゾートの過去の経営を検証する体制の整備と新しい経営を担える体制をどう構築していくか、具体的提案と行動が必要になってくる。


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