道内ゴルフ場の入場者数が、今年は半端ではないほど落ち込んでいるという。北海道ゴルフリポートによると、8月の道内139コースの入場者数は49万3069人で前年同月より3万5612人、率にして6・7%の減少になった。8月の単月で入場者が50万人を割ったのはこの10年間を取ってみても初めてだという。
景気低迷と猛暑により、ゴルフを手控えたゴルファーが多かったためと見られるが、入場者数は97年ころから一貫して減り続けており、各ゴルフ場はあの手この手で入場者減に歯止めをかけようと躍起だ。
そんな中で、今年入場者が増えそうな勢いがあるのが小樽カントリー倶楽部。サン・クロレラ・クラシックなどトーナメント大会のコースとして全国的に知られ、本州のゴルファーたちも一度は行きたいコースとして人気がある。
入場者が増えている原因のひとつが、前理事長の菅原春雄氏が事実上追放されたことによる効果だという。菅原氏と言えば、昭和の実業家と言われた菅原通斎氏の子息で小樽フタバ倉庫社長などを務め、93年から小樽カントリー倶楽部の理事長を務めていた。日本ゴルフ協会副会長も務めるなど道内ゴルフ界の顔でもあったが、そのワンマンぶりがやがて暴走の火種になる。
本来定款で無報酬と定められているのに交通費名目で報酬を受け取っていたことなどが発覚、昨年6月には理事長ポストを事実上解任され、現在は同倶楽部から損害賠償を請求される身になっている。
ゴルフ業界関係者は、「菅原理事長は入会預託金制度を導入してコースメンテナンスに力を入れ、それが小樽のステータスを高めたことは否定できないが、何よりあの人のワンマン体制で小樽カントリーそのものは閉ざされたゴルフ場だった。菅原氏が不正経理による横領疑惑で追放されたことで、小樽カントリーはガラス張りの経営になってそこで働いている人たちも顔つきも生き生きとしてきた。小樽カントリーの入場者が増えているのは、従業員たちの意識の変化が大きいのではないか」と言う。言わば“反菅原特需”のような現象が、小樽カントリーを舞台に起きているのである。
副支配人と支配人も交代しており、文字通りゴルフ場が一体となって経営に取り組んでいることが、この低迷期でも入場者を呼び込む原動力になっているようだ。