社団法人北海道ファシリティマネジメント協会は25日、札幌市中央区の札幌国際ビル8階の国際ホールで第16回通常総会を開催した。2011年度の事業報告や12年度事業計画を承認したほか新たな役員体制も報告した。総会終了後には、町工場のものづくりに詳しい政策研究大学院大学の橋本久義特任教授が講演、米国や欧州、中国の企業経営と日本の企業経営の違いを引き合いに、「日本は自動車部品の王国になるだろう」と述べた。(写真は、通常総会と講演する橋本久義氏)
総会には、委任状を含めて113人が出席。11年度の事業・収支報告のほか12年度の事業計画や収支予算について議案が出され賛成多数で議決した。
役員体制では、来春の一般社団法人化に伴い役割分担を明確化する目的で役員を増員、副会長として吉田洋一・北海道社会福祉事業団理事長、星野尚夫・札幌振興公社社長、中野章・北弘電社社長、常務理事に長沼修・札幌ドーム社長、横田正弘・東洋実業社長、檜森聖一・北海道二十一世紀綜合研究所社長、五十嵐陽一・三菱地所設計札幌支店長、理事に山田春雄・ベリージャパン社長、村井裕康・山下設計北海道支社長、監事に高橋利夫・モリミツ社長がそれぞれ新たに就任した。
総会終了後には、橋本特任教授が「グローバル時代に生き残る経営」と題して講演。「TPPは日本にとって良いことは何もなく悪影響を及ぼすだけだが、米中でTPPが結ばれると最悪になる。つべこべ言って引き延ばすのが得策」、「電力供給と価格の維持は死活問題。原発は危ないが頼りになる働き者のDV(ドメステイックバイオレンス)オヤジ、風力や太陽光発電はお腹が痛いとか頭が痛い、気分が悪いとしょっちゅう言っているフリーターのようなもの」と述べるなど、元通産省中小企業課長や総括研究開発官を務めた経験から分かりやすい例えを交えながら核心を突く語り口で会場を沸かせた。
橋本氏は諦めの早い米国の企業経営、縮小均衡を図ろうとする欧州の企業経営、ルールを変更してしまう中国の企業経営と比較して日本は「勝つまで諦めない中小企業の力が強い」と主張、「世界の中で基礎産業が維持されている国は日本しかない。自動車生産は10年後には世界で1億台の生産になるが、その中でプリウス・インサイト型のハイブリッドカーが本命になり、基礎部品は日本しか作れなくなるだろう」と自動車部品王国として日本はものづくりで存在意義を発揮する時代が来るとした。