続投か、更迭か――国から事業改善命令と監督命令受けたJR北海道のトップ人事が迷走している。国土交通省は、当面現経営陣の続投を容認しているが、官邸サイドでは更迭の姿勢を崩していない。坂本眞一元社長の自死で社内の混乱も沈静化しておらずトップが明確に定まらない限り、地に足のついた改革は望めそうにもない。
レール幅異常の放置やデータ改ざんなど組織ぐるみと言われても仕方のない経営を続けてきたJR北海道。監督官庁の国交省から事業改善命令と監督命令が出て1週間が経過したが、野島誠社長ら現経営陣が忠実にそれらの命令を実行に移せるかどうかは不透明だ。
常識的に見れば、責任を取って野島社長は引責辞任し、人心一新で求心力を高めたうえで改革に取り組むことが必要だが、こうした世間の常識が通用するほどJR北海道の社内は落ち着いた状況ではない。不祥事が相次ぐ中での坂本元社長・相談役の自死は社内の混乱をさらに増幅させている。
国交省は、現経営陣の続投やむなしという態度だが、3年前に自死した中島尚俊社長と親しかった菅官房長官をはじめとする官邸は社長交代を求める姿勢を崩していないという。
しかし、“野島暫定社長”とも言える状態が続けば、実のある改革は進まないだろう。そんな中で出ているのが3月まで野島社長が続投し、4月から新しい顔で経営に臨むという時間差を設けた交代。社内の動揺が沈静化する頃合いを見計らって新社長を誕生させるという国交省と官邸の折衷策とも言えるものだ。
新社長候補として名前が挙がっているのは、島田修JR北海道ホテルズ社長と佐藤和博札幌駅総合開発社長。いずれもJR北海道の役員を務めたOBだ。島田氏は国交省など中央とのパイプが太く、佐藤氏は組合問題にも精通していると言われる。また、北海道出身で現在JR東日本副社長の深澤祐二氏の名前も水面下ではあがっている。
さらに外部から会長を招聘する案も出ているが、その場合には北洋銀行会長でJR北海道社外監査役の横内龍三氏の就任も取り沙汰される。
いずれにしても、JR北海道が真に再生するには、現経営陣の交代は不可避。このままトップ交代の先送りが続けばJR北海道の混迷は続くことになるだろう。