北海道の若手経営者に成長の自力をつけてもらうことを目的にしている官民連携「北海道経営未来塾」(長内順一塾長)の第10期生32人が、同塾恒例の修学旅行を行った。ニトリの幸手(さって)DC(在庫型物流センター)見学や高市早苗首相との懇談、歌舞伎の鑑賞など、「経験したことがないことを経験する」という同塾修学旅行のコンセプトを体現した3日間だった。
(写真は、高市首相との懇談風景=北海道経営未来塾提供※他の写真も同塾提供)
(写真は、ニトリの幸手DC見学)
2025年11月17日の1日目は、ニトリ幸手DCの見学から始まった。当初は、ニトリ東京本部の訪問を計画していたが、似鳥昭雄会長から幸手DCの見学を提案を受けて変更になった。同塾の修学旅行では、移動時間が読めないバスの利用は控えていたが、今回初めて塾生たちが、1台のバスに乗って現地に赴いた。幸手DCは、AIを駆使した日本最大級の無人倉庫。家具やソファがロボットで搬送され、梱包もロボットが行う様子に塾生たちは多くを学び取った。
ニトリ東京本部に移動後は、似鳥会長が、プロフェッショナルの心得について特別講話を行った。自身の経験を通して経営者のあるべき姿を力説、塾生たちはヒントを得ようと熱心に聞き入った。その後、東京湾サンセットクルーズで海から東京の街並みや遠く富士を望みながら、塾生同士の交流を深めた。
(写真は、似鳥会長による特別講話)
18日は、総理官邸訪問から始まった。予算委員会の日程から高市首相との懇談は未確定だったが、総理応接室に塾生たちが通され、高市首相との懇談が実現。高市首相は、北海道のポテンシャルがリアリティ(現実)になってきたことを話し、北海道への期待感を示す一方で、おつまみの「カズチー」にも触れ、塾生の緊張感をほぐした。高市首相は、塾生たちと同じ目線でやり取りを行い、表敬訪問を超えた出会いに塾生たちは心を揺さぶられた。
自民党本部に移り、小林鷹之政務調査会長と武部新政務調査副会長兼事務局長を訪問。両氏は、北海道への想いや可能性への挑戦を伝え、塾生たちを鼓舞した。自民党総裁室も見学した。その後、衆議院第二議員会館で菅義偉元首相、小泉進次郎防衛大臣、長谷川岳参議と面談した。同塾は、1期生の修学旅行から菅氏との面談を欠かさず行っており、今回も菅氏はペーパーを用意して塾生たちに語りかけた。北海道鈴木直道知事の初選挙の際、菅氏がガラケーを取り出し、鈴木氏の無党派の支持率の高さを報じた記事を長内塾長に見せたことを引き合いに、長内氏が「今もガラケーですか」と菅氏に問うと、菅氏は「教えない」と笑顔を見せ、会場を後にした。
(写真は、国会議事堂前に集まった10期塾生)
小泉大臣は、日本の安全保障について話し、北海道は、自衛隊駐屯地が多く、北の守りに徹していることや、家族も含めて多くの自衛隊関係者がいることについて、塾生たちに寄り添う気持ちを持ってほしいと訴えた。長谷川氏は、資料を用意してラピダス、GX、安全保障について明確に力強く話した。
19日は、歌舞伎座で歌舞伎を鑑賞した。事前に塾生たちは、映画「国宝」を見た上で臨んでおり、歌舞伎と会社経営の本質に共通点があることに気づく塾生もいた。歌舞伎座では偶然、小泉純一郎元首相との偶然の出会いもあった。10期修学旅行の実行委員長を務めた塾生のイトイ産業(本社・士別市)・菅原大和専務は、旅行後のレポートで、<今回の修学旅行をあえて一言で表すならばミラクルです。この経験は、私の人生のターニングポイントとなることは間違いありません>と記している。



































