2025年12月1日付で、ツルハホールディングス(本社・札幌市東区)が、ウエルシアホールディングス(同・東京都千代田区)を完全子会社化して経営統合した。今後は、イオン(同・千葉市美浜区)が、新生ツルハHDの50%を超える株式をTOB(株式公開買い付け)で取得して連結子会社にする。売上高2兆円を超えるメガドラッグの誕生は、ツルハHDの地元北海道に何をもたらすか。
(写真は、質素なツルハHD本社)
ツルハHDは、ドラッグストアのM&Aで成長してきた企業だが、M&Aを繰り返しても創業家の鶴羽家は、いつも主導権をとって存続し続けてきた。鶴羽順現社長や樹前会長は、強いカリスマ性のある経営者というよりは、どちらかというと調整型のリーダー。かつて、本サイトがM&Aを繰り返しても主導権を取り続けることができるのはなぜかを、順社長に聞いたことがある。順社長は、「(M&Aを進めた)会長には、人間関係とか独特なものがあるのではないかと思います。一緒になった経営者たちとは、一見ばらばらに見えても心は一緒です。ツルハグループには、独特の雰囲気があるのでしょう。あまり強制的にツルハ色に染めないということもあると思います。ある意味、良いさじ加減なのではないでしょうか」と答えていた。
ツルハHDは、流通業界の北海道現象(多極分散型の北海道という地理的条件の中で経営力を高めた流通企業が全国で席巻すること)の代表企業だった。本社を創業の地、旭川から1991年に札幌市東区に移したが、業容の割には質素で見栄えのしない本社を、建て替えることも移転することもしなかった。そこには、ツルハHDに根付く商人道の一端が表れていたように見える。しかし、こうしたツルハHDは本質は、資本の奔流に巻き込まれてしまった。前述の答えを順社長が口にしてから5年、ツルハHDは、期せずしてドラッグストア業界再編のその主役となり、イオンカラーを色濃くまとうことになった。
今後、本社機能は東京に移ることは必至で、ツルハカラーは薄まり、北海道との縁も遠のいていくだろう。いずれ社名からも「ツルハ」が消えることが現実的になってきた。「ツルハ」のアイデンティティーが2兆円ドラッグチェーンの中で生き続けるのかどうか、懐疑的にならざるを得ない。



































