閉店のお知らせが簡素すぎてかえって哀感誘う「ラーメン小太郎」

経済総合

 札幌市豊平区月寒西3条9丁目6-17の水源地通沿いにある「ラーメン小太郎」が、2025年11月24日(月、振替休日)に閉店する。看板メニューの「中辛みそラーメン」にファンは多く、最終日に向けて、もう一度その味を楽しもうと連日多くのお客が訪れている。(写真は、店頭に貼られた「ラーメン小太郎」の閉店のお知らせ)
(写真は、2025年11月24日に閉店する「ラーメン小太郎」)

「ラーメン小太郎」がオープンしたのは、1989年。当時から辛口ラーメンを売りにしていたようで、中でも「中辛みそ」は、同店の人気を高める原動力になった。店内は、座敷席とカウンター席からなり、昭和後期から平成初期の大衆ラーメン店の雰囲気が今も色濃く残っている。謎めいた西洋画や写真が壁に掲げられており、平成4年に書かれた額に入った「高倉健」のサインも入り口付近の壁に飾られている。

 暖簾は「火の鳥」。これは、辛みその辛さを表しているのではなく、店主の不屈の精神を表したものという。というのも、店主は何度も病気で倒れ、その都度立ち上がってきたといい、その思いを「火の鳥」で表したそうだ。閉店は、体力の衰えと立ち退き要請のためで、2025年11月24日、勤労感謝の日の振替休日の日に、36年間の営業を終える。

 カウンター越しに見える厨房では、店主が黙々と中華鍋を振っている。お玉と鍋が当たる音とともに、時折り炎があがる。店内には閉店を前に、多くのお客で満席が続くが、いつもと変わらない接客の光景が広がる。閉店を知る手掛かりは唯一、入り口の張り紙だけ。「お知らせ」と題したその張り紙には、簡素すぎる文が並んでいた。店主の飾らない人柄がにじみ出たようなお知らせに、かえって哀感が増すばかりだった。

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