北海道の異業種交流組織「一への会」は2025年9月16日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌2階エミネンスホールで、「2025北海道ニューフロンティア経営セミナー」を開催した。今年のテーマは、「北海道のポテンシャルを今こそ活力へ~新たな経営戦略を探る~」。1講目のニトリ(札幌本社・札幌市北区、東京本社・東京都北区)の似鳥昭雄社長、2講目の東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘特任教授に続く3講目は、元大阪府知事・元大阪市長の橋本徹氏が、『北海道から日本を変える。その価値を改めて問いただす』と題して講演した。
(写真は、講演する元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹氏)
橋下氏は、府知事や市長時代に推進した大阪・関西万博やその会場跡地に2030年に開業するIR(統合型リゾート)を開業することに触れて、「会場(夢洲=ゆめしま)は以前、太陽光パネル、民間倉庫、コンテナターミナルが想定されていた。これだと、誰からも何の批判も受けないし、効果もない。誰からも、何の批判も受けないことが、日本の政治行政にエネルギーが生まれない最大の要因。大阪では、夢洲はその象徴だった。そこに、万博とIRを持ってくることにした。当然批判の嵐になった。民主国家の政治において、何かやろうと思った時に批判が出ないわけがない」とした上で、「僕は8年間、政治家をしたが、民主国家の政治において一番重要なのは、批判を受け、その批判を養分にしてエネルギーに転換していくこと。これが政治において一番重要なことだ」と語った。
北海道に話題を移し、新千歳空港近くにラピダスが、次世代半導体工場の建設を進めていることについて、「補助金に頼ったら、なかなかうまくいかないと思う。補助金がなければ苦しい企業も出てきて、撤退する企業もあるかもしれないが、そういう中から地域のエネルギーが出てくるのではないかと思っている。関西国際空港は、補助金漬けになっていたが、知事時代に補助金を国からもらわないことにしたし、大阪の黒門市場にも補助金を出すことをやめた。補助金をやめることが、良いわけではないが、ショック療法が必要だ。そのことによってみんなが一生懸命考える。考えることによって、エネルギーが生まれてくるのではないか」と自論を展開した。
最後に、道州制について言及、「47都道府県を9~13の道州制にすれば、地域ごとにヨーロッパ一国並みの経済規模になる。北海道は一つでヨーロッパ並みになるし、既に道州制特区の対象地域にもなっている。北海道は、自分たちで覚悟を持って進むから、国に『ノーと言わないでくれ』と言える地域に指定されている。一定程度の補助金を受けつつも、自分たちで責任をもってやれる特殊なうらやましい地域。ぜひ、北海道の政治行政は、批判、激論からエネルギーを生み出しながら、国に頼るのではなく、自分たちでやっていくという気概で、北海道の魅力をフルに発揮していただきたい。そうした中で、国に頼らない地域経営を見せてもらいたい」と期待感を示していた。



































