小樽市とマクニカ、自動運転EVバスの実証運行を開始

交通・運輸

 小樽市と半導体・サイバーセキュリティ製品など最先端テクノロジーを提供する技術商社、マクニカ(本社・横浜市港北区)は、2025年8月18日から、同市で公道を利用した自動運転EVバスの実証運行を開始した。(写真は、自動運転EVバス実証運行の出発セレモニー。左から北海道科学大学・石田眞二副学長、マクニカ・佐藤剛正常務、小樽市・迫俊哉市長、道科学大3年生・大橋茉梨乃さん、おたる運がっぱさん)
(写真は、小樽市内を走る自動運転EVバス)

 この実証運行は、バスの乗員不足を背景に、将来的なバス路線を維持していく手段として、自動運転EVバス導入の可能性を探るもの。2025年8月31日(日)まで、小樽国際インフォメーションセンターを発着点として、3・7kmを1日7便運行する。市民、観光客を問わず、無料で乗車できる。マクニカは、これまでも道内では、当別町や岩見沢市で公道を使った自動運転EVバスの実証運行を実施しており、河東郡上士幌町では、2022年から現在も期間を定めた実証運行を実施している。小樽市の今回の実証運行は、他の自治体と同様、レベル2で実施。車両には、オペレーターが乗車して監視を行い、路上駐車など障害物を車両が検知して危険と判断した場合は、オペレーターによる手動運行に切り替える。また、小樽国際インフォメーションセンターには、車両の走行データをリアルタイムで監視する。

 使用する車両は、ハンドルやアクセル、ブレーキペダルのないフランス製の「NAVYA EVO(ナビヤエヴォ)」。全長4・78m、全高2・67m、全幅2・1m、車両総重量は3450㎏、1回の充電で約9時間(100km)の自動走行が可能。乗車定員は15人、最高速度は25km/h。

 車両デザインは、小樽市と連携協定を結んでいる北海道科学大学(札幌市手稲区)の3年生、大橋茉梨乃さんが応募したデザインが採用されている。ガラス工芸「小樽切子」をモチーフに波や灯台を表見したものになっている。大橋さんは、「小樽切子の魅力が伝わればよいと思い、デザインした」と話している。

 この日、小樽国際インフォメーションセンター前広場で行われた出発セレモニーで、小樽市の迫俊哉市長は、「バスのドライバー不足で市内でも路線バスの減便が進んでおり、区間によっては廃線を検討しているところもある。地域の公共交通維持が難しくなっており、自動運転の実現に向けて課題を検証したい。多くの市民に乗車していただき、次の世代の交通に思いを馳せていただきたい」と挨拶した。マクニカの佐藤剛正常務は、「街全体のスマートシティとしての実装を目指していく小樽市と連携を図り、新しいまちづくりに向けた共創を進めていきたい」と話した。
 自動運転EVバスの運行ルートは、小樽国際インフォメーションセンターから、色内大通り、堺町本通り、臨港線を通って同センターに戻ってくるルートで、所楊志館は約30分間。1便当たり8人が乗車できる。

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