マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が、大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも、数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2025年20回目は、北区北26条西4丁目の旧「市営住宅幌北団地15号棟」。(写真は、解体工事が始まっている旧「市営住宅幌北団地15号棟」)
市営地下鉄北24条駅から北に向かうと、かつて「市営住宅幌北団地」が広がっていた。地下鉄が開通する前の、1960年代に建てられたこの団地は、20数棟にも及んだ。樺太からの移住者が多く住んだことから、通称で樺太団地とも呼ばれていたこともあった。老朽化により、2006年頃から徐々に建て替えによる高層化が進み、最後まで残っていたのが、この15号棟だった。
1965年に建てられた15号棟は、3階建て、2DKが20戸あった。西4丁目通側の1階は、庇のある商店が軒を連ねていたが、2021年頃には店を閉じ、住民の退去も進んで解体を待つだけになっていた。15号棟の解体工事は、2025年6月9日から始まっている。発注者は札幌市で、解体は丸竹豊建業・丸和青山経常共同企業体(札幌市東区)、解体工事は2026年1月16日まで続く。20数棟あった市営住宅は現在、7~14階建て7棟に集約されている。15号棟の解体で、最後まで残っていた樺太団地の面影が消える。