全国の個性ある起業家を発掘するインディペンデンツ(東京都豊島区)は17日、札幌証券取引所で道内企業2社の事業計画発表会を開催した。道内の金融機関やベンチャーキャピタル、証券会社などから約30人が出席した。インディペンデンツは、将来的にIPO(新規株式公開)を目指す起業家に事業計画をプレゼンテーションする機会を設けて各界からのアドバイスを受けて成長の道筋を描いてもらう取り組みを行っている。北海道では札幌を会場に年1回こうした発表会を設けており、今年が3回目。(写真左は日本アレフの堀之内英代表取締役、写真右はエムリンクの本見研介代表取締役)
事業計画をプレゼンしたのは、日本アレフの堀之内英代表取締役(44)とエムリンクの本見研介代表取締役(51)。
日本アレフは、磁気センサや光センサ、セキュリティセンサの開発製造を行っている研究開発型企業。発足は堀之内氏の祖父が1936年に興した生野製作所で、その後実父が68年に日本ハムリン(現日本アレフ)を設立。千歳科学技術大学で教鞭をとっていた堀之内氏が2008年から日本アレフ代表取締役になり2011年に生野製作所と合併。日本と中国に製造拠点を持つ年商150億円規模。
本社機能は東京だが、札幌と函館に研究拠点を持ち道内との繋がりは深い。
自動車向けのオイル検知センサでは年間3500万台分供給、ATMやコピー機の紙づまり検知の光センサではシェア8割を握るなどニッチ市場での高いシェアが特長。最近では介護用に人工知能を利用した離床センサを開発。これは通常のセンサでは判断できない高齢介護者などがベッドから離れるのを検知できるもので応用が期待できる。
堀之内氏は、「センサ製造で培ったモノづくりの技術とコスト問題解決のノウハウを使って海外に流出する製造業を日本国内に留めて磨き上げたい。M&Aにも取り組み、17年12月期には売上高350億円、営業利益率15%をめざし日本と香港でIPOを考えたい」と述べた。
続いて介護福祉事業を行っているエムリンクの本見氏が事業概要を説明。本社を佐呂間町に置いて02年から在宅介護の支援事業をスタート。グループホームやデイサービスセンター、居宅介護支援事業所、サービス付き高齢者向け住宅など施設名を『夢ふうせん』に統一して佐呂間町、常呂町、紋別市、江別市、網走市で運営。介護タクシー事業や就労支援事業所としてNPO法人も運営している。
12年12月期は4億3100万円の売上高で経常利益は1400万円、当期利益は1100万円の実績。16年度には12億円程度の売上高をめざし札証へのIPOを想定している。
本見氏は、「今後、地域で目の届くところに信頼できるスタッフがいる介護事業所を配置する“コンビニ戦略”を展開していく」と語った。