イトーヨーカ堂とダイイチの資本業務提携で食品卸「三井食品」は復活の狼煙をあげられるか

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 イトーヨーカ堂(本社・東京都千代田区)とダイイチ(同・帯広市)の電撃的な資本・業務提携の影で食品卸、三井食品(同・東京都中央区)が虎視眈々と道内市場でのシェア奪還を狙っている。三井食品は三井物産系の全国食品卸だが、道内でも三菱商事系の三菱食品(同・東京都大田区)に大きく水をあけられている。イトーヨーカ堂やセブン―イレブン・ジャパンなどと太い関係がある三井食品は、今回のヨーカ堂とダイイチの提携によって道内食品スーパー市場でシェア奪還のキッカケを掴んだ。
 
 道内の食品スーパーや大規模スーパーに商品を納入している食品卸は、三菱食品、国分、日本アクセス、三井食品、伊藤忠食品、スハラ食品などが大手とされる。大手商社系列の食品卸が圧倒的に強く、中でも三菱食品と日本アクセス(伊藤忠系列)が2強とされ、三井食品は道内での存在感は薄い。
 
 その理由は、過去に系列卸だった古谷が納入先のデリーズ破綻による連鎖で窮地に陥ったことや三井物産系の北酒連が不振で国分傘下に入りシュレン国分になったことが挙げられる。
 
 三井食品の道内での納入先は、イトーヨーカ堂とセブン―イレブンが主力で一時は北海道撤退説も取り沙汰されたこともある。
寡占化が進む道内食品スーパーや大規模スーパーの中で、三井食品はシェア拡大のキッカケがなかなか掴めなかった。
 
 今回のイトーヨーカ堂とダイイチの資本・業務提携は、三井食品の北海道戦略を再構築する契機になりそうだ。これまでダイイチは国分、三菱食品、加藤産業の取り引きが多かった模様だが、イトーヨーカ堂との仕入れや物流の共同化が進めば三井食品との関係も深まりそう。
ダイイチの年商は約300億円でイトーヨーカ堂と合わせると700億円ほど。セブン―イレブンの売上げは1200億円ほどと見られ、合計は2000億円弱。
 
 ざっと言えばこのうちの3分の1が一般食品で食品卸の主戦場。三井食品はすでに基盤のあるイトーヨーカ堂、セブン―イレブンに次いでどれだけダイイチに攻め込めるのか。三井食品が道内で復活の狼煙を上げることができるかどうかは、これからが正念場だ。

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