農協系スーパー、地域コミュニティ機能加え存続

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 先行きが危ぶまれていた農協系スーパーが、地域コミュニティ機能を加えてリニューアル、存続することになった。石狩郡新篠津村第47線北11の「ホクレンショップ新しのつ店」がそれで、2024年11月28日、リニューアルオープンした。農協系スーパーの生き残りの選択肢になりそうだ。(写真は、「ホクレンショップ新しのつ店」のオープニングセレモニー)
(写真は、店内に入る買い物客)

「ホクレンショップ新しのつ店」は、JAしんしのつが2002年に「Aコープ新しのつ」としてオープンさせ、10数年前にホクレン商事(本社・札幌市北区)が、運営を引き継いだ。オープンから20数年が経過、設備の劣化や建物の老朽化が進み、建物所有者のJAしんしのつは、閉店も視野に検討してきた。

 店舗は、村で唯一の生鮮食品を扱うスーパーマーケットのため、閉店すれば地域の食インフラが途絶える。結果、農家組合員や村民のライフラインとして残すべきという声が高まり、JA新しのつと村は協力して、リニューアルして存続することを決めた。改装資金には、内閣府のデジタル田園都市国家構想交付金の地方創生拠点整備タイプの適用を受け、2億数千万円の交付金を受けた。

(写真は、混み合う店内)
(写真は、コミュニティスペース「地域情報拠点Sビレッジ47」)

 交付金を使って、店舗の躯体を補強し、天井の全面張り替えや空調を一新、什器、冷凍機器も全面的に入れ替えた。また、売り場約200坪のうち約30坪をコミュニティスペース(名称・地域情報拠点Sビレッジ47)として整備した。店舗は、レイアウトを変えて買い回り性を高め、冷凍食品、日配品を充実させた。セミセルフレジも4台導入した。年間売り上げは、約3億円を予定している。

 この日、悪天候の中、店舗前でオープニングセレモニーが行われた。JAしんしのつの長谷光一組合長や新篠津村の石塚隆村長、和田義明前衆議らがテープカットを行い、開店を待ちわびた村民ら100人近くが店内に入った。長谷組合長は、「新篠津村は、湧別町と友好都市提携をしており、コミュニティスペースで湧別町の水産物などの紹介を行いたい。また、スーパーは、近隣自治体の住民にも利用してもらいたい」と話した。

 農協系スーパーは店舗老朽化に加え、人口減少や競争激化による売り上げ減で閉店を余儀なくされている。こうした中、今回の「ホクレンショップ新しのつ店」のケースは、農協系スーパー存続の選択肢となりそう。

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