旧イトーヨーカドー帯広店跡に「ダイイチ稲田店」オープン②待ったなしのディスカウント対策 

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 旧「イトーヨーカードー帯広店」の食品売り場を承継して出店した「ダイイチ稲田店」(帯広市稲田町南8線西10-1)。イトーヨーカ堂(本社・東京都千代田区)と資本業務提携しているダイイチ(同・帯広市)にとって、「うまくいって当たり前」というプレッシャーがかかる中、不透明要素が出てきた。それは、隣接する「マックスバリュ稲田店」(西5条南35丁目2-26)の動向だ。(写真は、旧イトーヨーカドー帯広店の建物)

「マックスバリュ稲田店」を展開するイオン北海道(本社・札幌市白石区)は、十勝地区の「マックスバリュ」をディスカウントストア(DS)の「ザ・ビッグ」に転換している。「ダイイチ稲田店」がオープンした同じ日の同じ時刻に「ザ・ビッグエクスプレス西陵店」(西18条南2丁目5-17)が転換オープン、十勝地区で「ザ・ビッグ」は3店舗になった。イオン北海道は、十勝地区の店舗を戦略的にDS転換する考えで、早晩「マックスバリュ稲田店」も「ザ・ビッグ」になることは必至な情勢だ。

 そうした中、ダイイチは、DSとは一線を画し、鮮度と味に重点を置くSM(スーパーマーケット)路線を貫く。ダイイチの若園清社長は、「SMがわが社のあるべき姿。設立以来、脈々と受け継いできたわが社の社風でもある」と言う。その言葉の裏には、DSを運営する体制を一朝一夕には確立できないという諦観もあるようだ。目指す路線は、DSに対抗できるSMをつくり上げることにある。

 しかし、今のダイイチの運営体制では、DS旋風に立ち向かえるかどうかは不透明。SMのローコストオペレーションへの取り組みが十分とは言えないからだ。若園社長もそのことを認めつつ、「インストア製造ばかりではなく、惣菜、精肉、鮮魚のセンター化が課題。生産性を高める取り組みを強化して、ローコストオペレーションに繋げたい」と話し、センター建設は、不可欠という認識を示す。

 ダイイチは、「稲田店」に続き、11月上旬に「千歳店」(千歳市)を新設オープンさせ、2025年3月頃には「イトーヨーカドーアリオ札幌店」(札幌市東区)の食品売り場跡にも居抜き出店する。高速出店による運営体制整備と、ローコストオペレーションへの取り組みを同時進行させていく舵取りが要求される。「稲田店」のオープンは、その号砲となりそうだ。

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