アインファーマシーズ(本社・札幌市)の大谷喜一社長は重複上場している札幌証券取引所の会社説明会で個人投資家を対象に講演、今後の経営方針などを説明した。同社は現在『トレセンド2000経営計画』(2010年4月期~14年4月期)を実行中。大谷社長が語ったエッセンスを抜粋して紹介する。(写真は、個人投資家説明会で講演する大谷喜一社長。2013年6月28日午後)
「来年は、消費増税と薬価引き下げがある。それを見越して前期は思い切った整備をした。2013年4月期で自己資本比率は40%、ネットキャッシュは30億円ありまだまだ投資ができる。これは重要なファクターだ。14年4月期の売上高計画は1720億円だが、これは堅い数字なので確実に達成したい。純利益は10億円増の60億円を計画、1株利益は376円を予想、前期は60円配当でその前の期より10円増配しており今期も続けたい」
「00年4月期には調剤6割、ドラッグストア4割だったが、13年4月期は9割が調剤、1割がドラッグになった。調剤を伸ばすのに全精力を傾けてきた。基本戦略は、病院の門前薬局を一番良い場所に出すこと。それができなければ出店しない。たくさんの処方箋を集められる場所でなければならない。1番立地を確保できなければ2番立地でも1日50枚以上の処方箋が集められる場所でなければ競争に勝てない。調剤薬局は全国に5万5千店あり、コンビニよりも多いのではないか。門前の良い立地を確保するにはM&Aをするしかない。そうすると拡大もするが借金もする。以前はホームセンターで拡大しながら借金も増えて大失敗した。今は、財務諸表を常に気にしながら拡大路線を取っている、これは重要なことで拡大しても借金が膨らむのはダメだ」
「『ビクトリー2005計画』(01年4月期から05年4月期)の最終年に売上高570億円になったが、そのうち200億円はM&Aによる売上増だ。次は1000億円目指そうと『チャレンジ1000計画』(06年4月期から08年4月期)を進め、3年間で売上高1000億円を超えた。そのうち300億円はM&Aで伸びたものの利益は目標に到達しなかった。成長させて利益をコストコントロールするのは難しかった」
「00年4月期から08年4月期までに実現した売上増の半分は買収によるものだが、非常にうまく行っている。財務面でも崩れていない。コストコントロールとM&Aをやるのは難しいが非常にうまく行っている。ここは褒めてもらっても良いかなと思っている」
「今後の事業拡大のポイントは、『出店』、『買収』、『ジェネリック』。ジェネリックは利益率が高いし、使うのは国の方針でもある。ジェネリックは大量に仕入れると安くなる。患者さんに説明して切り替えてもらうのは薬剤師の仕事でもある」
「14年4月期は調剤薬局と物販で86店舗の出店を計画、総店舗数は707店舗を見込む。調剤薬局では年間28億円を売り上げる東京医大前店もある。月に2億2~3千万円、1日800~1000万円で薬剤師が40人いる。一方で、月600万以下の調剤薬局はたくさんある。だから門前の良いところに立地するのは極めては重要だ」
「M&Aがうまく行ったのか、高い買い物ではなかったのかとよく言われる。他社と競合したM&A案件はたくさんあった。途中で降りたのもある。降りるのも戦略、あまりに高いM&A案件では競合相手に買ってもらって体力を弱めてもらい、当社は次の案件に切り替えた方が良い。業界2番手の利益率は当社の半分以下とまだまだ差があるのだから」
「調剤薬局のマーケットは拡大しており再編は終わっていない。財務体質強化してあらゆることに対応したい。希望としてはアインズ&トルペの大きな店を札幌でも全国でも作りたい。大阪のあべのハルカスに医療モールを14年4月に出店するが京都でも、首都圏でもJRビルに入る計画がある。もちろん門前薬局にも力を入れていく」