オープンしてから、いつかはクローズするのが店舗の宿命。生老病死のサイクルは店舗にもある。この場合は、突然死とでも言うのだろうか。ケヒコ(本社・横浜市中区)が道内で運営する7店舗の「業務スーパー」が、休業に入ってから10数日、再開の兆しは見えない。訪れる人もなく、賑わいもない店舗は、時が止まったような佇まいを見せている。
(写真は、ケヒコが運営していた「業務スーパー岩見沢店」=上と「苫小牧東店」)
ケヒコは、北海道の「業務スーパー」のFC(フランチャイズ)展開では、先頭を走ってきたフランチャイジーだった。北海道の「業務スーパー」の源流は、旧サンワドー(本社・青森市)が、道内の「サンワドー」店内で始めたのが最初だが、路面店展開は、ケヒコが先鞭をつけた。それが、狸小路商店街に2013年8月にオープンさせた「すすきの狸小路店」(札幌市中央区)だった。市内2店舗目は、別のフランチャイジーであるG-7スーパーマート(本社・神戸市須磨区)が、同年12月にオープンさせた「月寒西店」(同市豊平区)で、以降は、G-7スーパーマートがリード役になって出店していった。
ケヒコは、札幌以外の路面店展開でも先鞭をつけた。2015年6月にオープンした「苫小牧店」(苫小牧市)がそれで、以降、別のフランチャイジーによる地方展開が加速していくようになった。また、居抜き中心だった展開から、新設店舗の流れをつくったのも同社だった。2019年11月にオープンした「岩見沢店」(岩見沢市)は、アルファコート(本社・札幌市中央区)が建設した店舗に、賃借出店したものだった。
その他にケヒコが手掛けた店舗は、2018年2月の「旭神店」(旭川市)、2022年10月の「苫小牧東店」(苫小牧市)、2023年4月の「滝川店」(滝川市)、2024年5月の「室蘭店」(室蘭市)があり、計7店舗を運営。帝国データバンクによると、2023年8月期には売上高28億7900万円、当期純利益1200万円だった。そんな中、今年6月から労使紛争が表面化、経営者による会社資金の不正流用疑惑で、労使間は断絶状態に陥る。労組による店舗ストも行われたが、不意を突くような経営側の自己破産申請で、7店舗は、7月末から無期限休業に入らざるを得なくなった。
裁判所の破産手続き開始決定により、店舗閉鎖は決定的になった。店舗が閉じられてから10数日、働いていた従業員の中には、近隣スーパーに転職を決めた人もいる。どの店も賃借物件だが、今も「業務スーパー」の看板は掲げられたまま。店舗がクローズする場合、多くは業績悪化か老朽化によるものだ。突然死のようにクローズする例は、珍しい。ともあれ、どの店舗も時が止まったような佇まいを見せている。このまま「死」を迎えるのか、別のフランチャイジーによって「生」を取り戻すのか、先は見えていない。