「成長の入り口は真似だ」、久原本家グループ・河邉哲司社主が経営未来塾で熱弁

経済総合

 たれやだしなど調味料のSPA(製造小売)で先頭を走る、久原(くばら)本家グループ(本社・福岡県糟屋郡久山町)の河邉哲司社主が2024年8月9日、札幌市中央区の札幌パークホテル1階テラスルームで開催された北海道経営未来塾第3回定例講座で、講演した。河邉氏は「6名の醤油屋の挑戦、そして今」と題して、9期の塾生30数人に福岡弁を交えて語りかけた。(写真は、福岡弁で語りかける河邉哲司氏)

 河邉氏は、明治26年久原村(山田村との合併により現在は久山=ひさやま=町)で創業した、久原醤油の4代目。社業を父親から引き継いだ1980年代は従業員6人、年商6300万円だったが、2024年2月期は従業員1319人、年商は318億円に成長している。成長の原動力について「真似だ」と強調。「たれやめんたいこ、だしは他社の真似をして作った。真似をしたと批判や中傷も受けたが、真似でも同じ真似ではない。私はこうしたい、ああしたいとブランド化を意識して真似をした。結果、入り口は真似でも、出口は全く違ったものになった。真似をしていたら、はっと気づくことがある。その気づきを、実現するのが経営者だ」と真似の大切さを訴えた。

 父親に勧められ、27歳で入会した福岡JC(青年会議所)についても言及。「当時、私は結婚したばかり。久山町から福岡市まで出かけるのも大変だし、久原醤油を誰も知らない。やることといえば、議事録作成や宴会の場所探し、会計の仕事ばかりで、参加するのがすごく嫌だった。辞めたいと思い続けたが、ふと、逃げても一緒だと気づいた。それならイエスから始めようと切り替えた。『はい、わかりました』から始めると、人との出会いが増え、可愛がられるようになった。そこで出会ったJC仲間の人脈が、その後の事業展開の大きな助けになった。JCに入っていなかったら今日の会社はないと思う」と話した。

 河邉氏は、めんたいこのブランド化が差別化につながるとして、1990年から始めたあごだしめんたいこ「椒房庵(しょぼうあん)」に取り組んだ経緯や、だしのブランド「茅乃舎(かやのや)」の通信販売、店舗の戦略について明かしたうえで、「経営者としての仕事は、企業を永続させること。そのためには、本物を求めることに手間暇を惜しまないこと、田舎にあっても地方の旗を立てる気概を持つことが永続に繋がる」と述べた。

 同社は、めんたいこの原料調達で関わりの深い北海道への恩返しもあって、2022年に恵庭市に工場進出した。「北海道の農産物はもっともっと良くなる。その中で、付加価値を付けて売ることが北海道には必要。北海道の素材を使った新しいブランドをつくる目的もあって、北海道に進出した。5年、10年と歯を食いしばって開発を進めれば、間違いなく面白いものができると確信している。皆さんと切磋琢磨して北海道を盛り上げたい」と語っていた。

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