北洋銀行と北海道大学の包括連携事業として実施されている「2013年度北洋銀行市民医療セミナー」の第3回『高血圧症はなぜ怖い!』が、市民約100人を集めて北洋大通センター4階のセミナーホールで開かれた。講師は札幌医科大の島本和明学長。島本学長は、高血圧症は治すことができ、「高血圧の薬を飲むことを止めるのも可能」と語った。参加した市民の関心は高く、講演後には質問が相次いだ。(写真は講演する島本和明札幌医科大学学長=25日午後、北洋大通センターセミナーホール)
島本学長は、高血圧になるのは、ツルツル状態の血管内皮がタバコに含まれるニコチンや血中の高血糖、高コレステロールによって障害を起こすためと説明。
「血圧は貯水槽と同じ。水道の蛇口からチョロチョロと水が出るのが低血圧に例えられ、ジャージャーと出るのが高血圧に例えられます。蛇口をひねってジャージャーと水が出るといずれは水道管も錆び付いてきます。管の内部が錆に覆われて狭くなってやがて出なくなる。それが高血圧によって引き起こされる脳卒中や心臓病など太い血管の病気に繋がります。高血圧は別名サイレントキラー、忍び寄る殺人者とも言われます。気が付くと血管が狭くなっているということが多い」(島本学長)
ちなみに低血圧の人は血管が丈夫だから長生きするという。
上が140(mmHg、以下略)以上、下が90以上を高血圧と言うが、日本では4000万人がこれに当てはまり、上が135以上の予備軍も含めると5600万人、つまり2人に1人は高血圧ということができる。
島本学長は、道内の端野町や壮瞥町で35年間に亘って続けてきた疫学調査から、「下は80以下、上は120以下を至適血圧というが、この範囲の血圧の人が一番病気の少ないことが分かっています」と紹介した。
では、高血圧の原因は何か。遺伝で6割の人が高血圧になり食塩の取りすぎも高血圧を引き起こす。島本学長は、食塩についてこんなエピソードを紹介した。「ある著名な医師は高血圧でしたが、ある時帝国ホテルの朝食で味噌汁を飲むとあまりにしょっぱいのでボーイにお湯をもってくるように注文したのです。その医師はお湯を入れて味噌汁を飲むことにしたが全部飲んでしまった。これでは同じこと。でも、実際にあった話なんですよ」
さらに島本学長は肥満も高血圧の大敵になると訴え、体重を落とすことは自分の管理でできるとして自らも77㌔あった体重をランニングによって63㌔まで14㌔減量したことを披露した。「体重を減らすと血圧も下がります。4㌔落とすと血圧は11下がると言われています。減塩の食事と運動、それに毎日体重を量って手帳かカレンダーに書き込むことを勧めます。それも明日からではダメ。今日からです」と話した。
講演後には、参加者から「下だけが高い血圧は高血圧なのか」、「心臓と頻尿の関係は」、「血圧は1日のうちでいつ測るのが一番正確か」などの質問が寄せられ高血圧に対する関心の高さを窺わせた。
なお、次回の北洋銀行市民医療セミナーは「血液の病気・見つけ方、治し方」をテーマに北大保健センター長の橋野聡教授が講演する。参加申し込みは、北洋銀行法人部(☎011-261-2579)へ。無料。