道産酒の道内消費率を高めようと蔵元を巡ったり酒にまつわる歴史や文化を見つめ新たな提案を行うことを目的に設立された道産酒プロモーション団体『花咲醸酒hana―sake43°の会』(代表幹事・平島美紀江コープさっぽろ広報誌ちょこっと編集長)が20日、第一弾の酒蔵ツアーを実施した。新十津川町の金滴酒造や旭川市の高砂酒造、男山を訪ね、酒造りの現場を体験するのが狙い。参加した39人は道産酒が道内の食文化や生活と密接な関わりを持っていることにあらためて感心した様子だった。(金滴酒造の杜氏、川端慎治常務(右)から説明を受けるツアー参加者=写真左、高砂酒造では昭和4年に建設された道内最古のコンクリート建屋が現役で使われている=写真右)
道産酒の道内消費率は2009年時点で21%。25年ほど前には40%を超えていたがその後は一貫して減り続けている。一方で全国一の米どころとして知られる北海道では、酒造に適した米の品種改良が進み、「吟風」や「彗星」などが生まれている。「道産酒はこの10年ほどで生まれ変わったように美味しくなった。年々美味さに磨きがかかっている」(酒匠で北海道ソムリエの鎌田孝氏)とプロの評価は高いものの、一般消費者にはなかなかその美味さが浸透していない。
『hana―sake43°(はなさけ)の会』は、道産酒好きの女性経営者や料理研究家など9人が発起人になって結成された道産酒の愛飲拡大を目指したプロモーション団体。プロの評価と一般消費者の溝を埋め、道産酒の消費率を高めるとともに酒にまつわる北海道の歴史と文化を学び、新たな発信もしようというもの。
プロジェクト第一弾となった酒蔵ツアーでは、奈良県十津川村の水害から明治期に入植した村民たちが新十津川で自分たちの酒は自分たちで作ろうと苦心の末醸造に成功、「金の滴」と命名した経緯や旭川の「高砂酒造」では昭和初期のコンクリート作りの建屋が現役で使われていることなど、蔵元が紡いできた物語を学習。コープさっぽろシーナ店文化教室で鷹栖町の風神窯を主宰する片山一・兵衛親子の指導でおちょこづくりにも取り組んだ。
その後、予定にはなかった男山にも立ち寄り、参加者たちは試飲を楽しんだ。
『hana―sake43°の会』では、5月12日に北海道神宮で花見酒イベント(参加費5000円)を開くほか、同月26日には栗山町で田植え体験と小林酒造を巡るツアー(同3900円)、6月15日には田中酒造と北の誉を巡り屋形船でクルーズしながら道産酒を楽しむツアー(同7800円)も予定している。
詳細問い合わせは、コープトラベル(☎011・851・7411)へ。