産学官金連携コンソーシアムTeam Sapporo-Hokkaidoが「洋上風力発電関連産業セミナー」 

経済総合

 2023年6月に発足した産学官金21機関からなる、コンソーシアム「Team Sapporo-Hokkaido」の主催による「洋上風力発電関連産業セミナー」が同年10月16日、札幌市中央区の北洋銀行本店セミナーホールとオンラインで開催された。セミナーホールには約100人が出席、オンライン視聴は1300人を超えた。(写真は、「洋上風力発電関連産業セミナー」)

 洋上風力発電設備の部品点数は約2万点で、自動車産業と同様に裾野が広いうえ、調査、開発、建設、その後のメンテナンスまで幅広い業種にまたがった産業分野として期待されている。洋上風力の全国随一のポテンシャルがあるとされる北海道では、2023年5月に道内5区域が国から再エネ海域利用法に関する「有望な区域」に選定され、洋上風力発電事業の実現に向けて大きく前進した。

 今回のセミナーは、そうした流れを受け、先行して導入が進んでいる秋田県の事例を踏まえ、参入機会や人材確保、人材教育に関する情報提供を行うために開催された。最初に、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部の稲邑拓馬政策課長が「洋上風力政策について」講演。「有望な区域」では、再エネ海域利用法に基づく法定協議会を開催し、地域・漁業の将来像の実現に向けて一丸となって取り組むことで、共存共栄を具現化することなどが示された。

 続いて、日本経済研究所産業戦略本部の鵜殿裕上席研究主幹が、「北海道における洋上風力関連産業の振興に向けて」をテーマに講演。鵜殿氏は、洋上風力発電は幅広い産業への経済波及効果が期待されること、秋田県の試算によると累計経済波及効果は3551億円であること、県内調達率を高めた場合には8197億円になることなどが報告された。

 最後に、みずほリサーチ&テクノロジーズコンサルティング本部エネルギービジネスチームの佐々木翼氏が「洋上風力関連産業の人材育成に向けて」と題して講演。洋上風力の導入が先行する英国では、6・4GWの2017年時点で1万人の雇用があり、2032年の35GW時点では3万6000人の雇用者数になることを示した。また、オペレーションとメンテナンス業務が、洋上風力発電事業全体のコストの中で36・2%と大きな割合を占め、地元への経済効果・雇用創出が期待できるが、機械、電気、情報等の幅広い知識が必要となり高校、大学を含めた人材育成が不可欠と報告した。

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