札幌市が5月から伊藤義郎邸(北5西8)1・4haの自然環境調査を実施、一部を高層マンション建築可能な用途地域に変更

札幌市政

 札幌市は5月から札幌市中央区北5西8にある伊藤義郎・伊藤組土建名誉会長(札幌商工会議所名誉会頭)の自宅敷地の自然環境調査を始める。伊藤邸は広さ約1・4haで敷地内には多くの樹木が生い茂り、豊平川の伏流水が湧き出るメム跡もあって開拓当時の自然が残されている。市は390万円を投じて3ヵ月間、樹木の植生や水脈、土壌調査を行う。調査のよって保全する部分と開発するエリアを分け、年明けにも一部を高層マンションが建築可能な用途地域に変更、これを受けて伊藤氏はマンションデベロッパーに売却する。(写真左は敷地内にある邸宅、写真右は多くの樹木が茂る伊藤邸の敷地)
 
 北5西8の伊藤邸は、北大植物園(北3西8)の北に位置し都心に残された数少ない樹林地。約1・4haの敷地に伊藤氏の自宅と一部原生林や開拓当時に植林された樹木が数多く生い茂っており、道庁前庭などにもある豊平川の伏流水が湧き出るメムの跡もあって開拓当時の姿が残されているという。
 
 昨年10月に伊藤氏は土地所有者からの提案で土地利用規制が緩和できる都市計画提案制度を利用して高さ90m程度の高層マンションが建築できる用途への変更を市に申し出た。
 
 ただ、伊藤氏も敷地内には多くの緑が残されていることから一部を保全したい意向を示し、市は敷地全体の自然環境を調査したうえで結論を出すことにした。
 
 調査を担当するのは環境局みどりの推進部で調査費用は390万円。5月から7月まで樹木や下草の植生、メム跡の地形、水脈の状況、土質や土壌を調査する。

 10月ころに現地調査の結果をまとめ、保全する区域と開発する区域を分け、年明けの都市計画審議会で土地利用制限の緩和を検討する。
 
 伊藤氏は現在、邸宅には居住していないが、数年前から敷地売却の検討を進めていた。現在、この敷地全体が第一種住居地域に指定され容積率200%、建ぺい率60%、高さ33mの高度規制がある。土地利用に制限があるため売却は難しく、こうした縛りを都市計画提案制度によって解除し、半分程度の敷地を周辺と同程度の高さ90mの高層マンションが建築可能な用途地域に変更したうえでデベロッパーに売却したい考え。残りは自然環境を保全する目的から市が取得することも検討されている。

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