セコマ(本社・札幌市中央区)は2023年7月25日、稚内市と包括連携協定を締結した。セコマは、2004年に災害時の物資供給協定を締結しており、さらに関係を強化するため包括連携協定を締結した。稚内市には、同年8月1日に「ローソン」が進出することになっており、コンビニエンスストアの展開で先行しているセコマが、地域ブランド向上や産業振興で市とのパイプを密にする。(写真は、セコマと稚内市の包括連携協定。左から工藤広市長、赤尾洋昭社長=セコマ提供)
この日、稚内市役所3階の市長会議室には、セコマの赤尾洋昭社長と工藤広市長の姿があった。セコマの子会社、セイコーマート(本社・札幌市中央区)が稚内市に進出したのは1990年。以降、店舗を広げ、現在は18店舗あるが、そのうちで酒販店などから転換して屋号の残っている「セイコーマート」は2ケタ近い。
稚内市は日本の最北の街で、旭川市から約240㎞、名寄市からも約170㎞離れており、物流面から全国系コンビニは進出していなかった。そうした中、ローソン(本社・東京都品川区)は、1986年に札幌市豊平区に1号店を出店して以来、37年を経て稚内に初出店することになった。
セコマと稚内市の包括連携協定は、「ローソン」が2店舗を同時オープンする1週間前に設定され、セコマの意志が大きく働いたもよう。セコマは、これまで他コンビニチェーンとの対抗意識をことさら強調することはなかったが、今回は例外的に旗色を鮮明にしたことがうかがえる。
締結式で工藤市長は、「市民にとっても喜ばしい協定」と述べ、赤尾社長は「宗谷の商品は素材の持つおいしさがあり、今後の可能性を感じる」と話した。協定によって、①地域の食材を生かした商品開発や産業振興の協力②安全・安心なまちづくり③持続可能な社会を実現するために環境に配慮したまちづくり④次世代の子どもたちの成長を応援するまちづくり⑤地域との連携を深めた活気あふれるまちづくりーーについて協働で取り組む。
セコマでは、市内の店舗で宗谷の名産品コーナーを設置するほか、これら商品を道内の一部店舗でも取り扱う。また、地域食材を利用した商品開発にも今まで以上に踏み込み、地域密着展開を強化していく。
稚内市の人口は3万1256人(2023年6月末現在)。「ローソン」は年内に3店舗にする考えで、狭小エリアでのコンビニ競争が激しくなりそう。ただ、「セイコーマートとローソン、セブンーイレブンは競合しなくなっている」という声もあり、他業態が影響を受けるという見方も出ている。