ホームセンター業界は、大手チェーンが全国津々浦々に出店、北海道の街でもメジャーな看板ばかりが目立つ。日本最東端の街、根室も例外ではないが、今やすっかり少なくなった地場系ホームセンターが地域密着の店舗として、しっかりと根付いている街でもある。(写真は、根室市の地場ホームセンター「ヒシサンホーマ」)
根室市花咲町3丁目17番地にある「ヒシサンホーマ」。ひし形の中に漢字の三をあしらった社章から引用した社名を戴くヒシサン(同市本町4丁目43番地)が運営するホームセンター。ヒシサンのルーツは戦前の根室売炭販売。戦後は、石油販売やガソリンスタンドに進出、事業を拡大していった。
ホームセンターに進出したのは1976年、今から46年前。同社は、その3年前にボウリング場「パシフィックボウル」をオープンさせた。当時は全国でボウリングブームが起きた。ヒシサンも参入したものの、時を経ず陰りが出てくる。そこで、素早くボウリング場の1階を改装して、ホームセンターをオープンさせた。1976年といえば、全国大手DCM(東京都品川区)の前身の1社、旧石黒ホーマ(釧路市)が、「石黒ホーマ」1号店を釧路市内にオープンさせた年と重なる。
ヒシサンは、1985年には札幌にも進出、ホームセンター「トントン館」もオープンさせた。この店は残念ながら2016年に閉館したが、跡地の一部には「コープさっぽろ二十四軒店」が建った。
「ヒシサンホーマ」は、1997年にリニューアルして以降、時代の変化に応じた付加価値を提供してきた。2010年にコインランドリーを敷地内に設置、2011年に女性専用フィットネスクラブ「カーブス」を2階に設置、2018年には携帯ショップを増床、2020年には100円ショップ「ワッツ」売り場も設けた。DCMは、2012年に「根室店」(西浜町8丁目125番1)を設けたが、時代の先を読み、変化に対応した付加価値の提供で「ヒシサン」の支持は揺らいでいない。
根室市には、総合資材のプロショップ「BigPro」(ヤマレンが展開)も、地場のプロ向け専門店として街に根付いている。人口2万4000人、地元びいきだけでは片づけられない「根室モデル」があるようだ。