コープさっぽろ(本部・札幌市)は11日、2013年生協会新春学習会を札幌コンベンションセンターで開催した。生協会はコープさっぽろの取引先が組織する交流団体で、6年前から新年交礼会を衣替えして学習会にしている。約1500人が参加したこの学習会で、コープさっぽろの大見英明理事長は2013年の行動指針として「宅配の深化」や「組合員の側にもっと近づく」ことを掲げ、低価格競争とは一線を画した差別化路線を進めていく考えを明らかにした。以下、大見理事長の発言要旨を掲載する。(写真は、大見英明理事長)
『食品スーパーは、大変な時代を迎えている。2012年上期の既存店は、前年上期比の96・4%で18ヵ月連続の前年割れ。百貨店が衰退し、続いて総合スーパー(GMS)が衰退していったが、ついに食品スーパーにも衰退の危機が訪れようとしている。
そういう流れの中で生き残りのために試される年末商戦だった。コープさっぽろの既存店売上げは前年比で102・6%と100を超えた。12月28~31日の4日間だけを見てもコープさっぽろの過去で一番良かった。店頭では、高齢者が孫のため、息子たちのために高単価のものを購入する例も多くライバル店とは違う好評価を受けたと考えている』
『有力チェーンストア17社、生協3が加盟しているニチリウグループの中で既存店売上げの伸び率が一番良かったのは、コープさっぽろだった。また、宅配も12月は前年同月比で105%と順調だった』
『2012年は、全国のコンビニ5万店がミニスーパー化した年でもあった。駐車台数も20台を超える店舗が増えている。また、ドラッグストアも食料品を置き、食品スーパーは両業態から攻め込まれている。道内には2700店のコンビニがあり、まだ増えていくだろう。道民2000人に1店舗だが、現在でもオーバーストアの状態でさらに出店は継続していくだろう』
『例えば、人口5400人の利尻島にもセイコーマートが3店舗、サッポロドラッグストアー1店舗あるが、その中でコープさっぽろの宅配は17%のシェアを持っている。過疎地、離島での競争関係もより激しくなっていくだろう』
『年末にトラアイルの店舗を見たが、かなりお客様が入っていた。コープさっぽろでは2㍑のお茶が128円だが、トライアルは台湾で作った緑茶を78円で売っていた。これで良いと割り切る消費者が増えていることを実感する。中間的安さはこれから弾き飛ばされるだろう。二極化の中で生き残っていきたい』
『09年、10年とコープさっぽろは低価格戦略を取った。しかし、11年から非価格競争で生き延びる差別化戦略を取って2年になる。一昨年10月の西宮の沢店はこうした差別化を取ってきた店舗。この実績を元に次年度の店舗事業に生かしたい。差別化とはエネルギーと食料が自足可能な方向だ。北電が料金値上げを表明しているのは如何なものか。企業努力でコストの吸収をするべきだ』
『昨年11月に自前のフリエ斎場をオープン、12月にはバイオガスプラントを七飯で稼動させた。今年1月には東川町で水の工場も稼働を始めた。こうして蒔いた種をどう回収するかを具体化する1年にしたい』
『食料自給率向上に向けた取り組みを表彰するフードアクション・ニッポン アワードで飼料米で育てた畜産物を商品化した黄金そだちシリーズが金賞を受賞した。現在は15品目で1億円の商材になっている。東日本フーズなどが取り扱っており、べつかい乳業興社のアイスクリームも3万3000個販売し好調に推移している。約900件がエントリーして、大賞に選ばれたのは社会的評価を得たと思っている』
『13年は素材供給から食の提供への動きをさらに強める。生協が好きな人を増やすということだ。組合員の声のコーナーを設け、もっと組合員のそばに近づく。組合員の購買行動を分析し、行動パターンごとの販促する新しい販促プロモーションで、“あなただけ”のおもてなしとお礼で顧客の願望を満たす取り組みを徹底する』
『昨年12月初旬に生協の農産ヘッドセンターを二十四軒から江別に移設した。農産の品揃えが良くなって野菜のクレームはゼロになり、宅配の野菜の鮮度も良くなった。ネットスーパーに負けないコープの宅配を深めていきたい』